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□SWEET VALENTINE
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こんな日に右腕に急な仕事を入れるなんて、うちのボスもひどい。
うっかりそう思ってしまったけど、たくさんの女を置いて仕事を優先する人気者の彼の方が、よっぽど心苦しいに違いない。
早朝から家主が消えたマンションの一室で、俺は半日ぼんやりとテレビを観ていた。

「…なんで休みなんだろ、俺」
テレビの中のアナウンサーに、俺は独り言を呟く。
獄寺が仕事に行ってしまったことも寂しくなっていたけど、ツナに仕事に呼んでもらえなかったことも結構悲しい。
その気持ちを吹き飛ばすように、コーヒーを飲み干した。
テレビでは、どこの放送局でもバレンタイン・デーを取り扱っている。
俺は心の中を吐き出すように大きなため息をついて、ブチンとテレビの電源を切った。
「もういいや」
俺は獄寺の家を適当に片づけた後、外に出た。










SWEET VALENTINE
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