リクエスト小噺

□ポラロイド
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「獄寺」
最近の山本は、ちょっと変わった。
俺を呼ぶ声も、俺を映す瞳も、いつもと違うものを帯び始めた。

「なんだよ?」
俺が向く前から、山本は至近距離で俺を覗き込んでいたらしく。
…くる━━そう思って、目蓋を降ろそうとした時。

「……なに群れてるの? きみたち」
ヒバリが、風紀委員の奴らと現れた。





ポラロイド





「━━ふっ……撒けたか?」
「っ、はあ…なんとか……はあっ」
ふたりで全速力で駆けて、俺たちの息は上がったままだ。
「つうかあいつ…日曜だってのになんで制服なんだ」
「まあまあ。逃げられたことだし、もういいじゃん」
山本が、いつもの表情に戻る。
その顔を眺めると
「ん?」
山本が、無邪気に小首を傾げた。
でかい図体がそんなガキみたいな仕草しても、きもいだけなのに。
ちょっと可愛く見えてしまう俺は、もう末期だと自覚できるくらいハマッている。
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