リクエスト小噺

□白夜
1ページ/4ページ



朝、目を覚ますと、山本はもういなかった。

閉めきったカーテンから、朝日が漏れている。鳥の鳴き声もする。

それでもまだ眠たくて、目をこすろうとしたら「あいつ…」自分の指についた赤い痕を見つけた。
昨夜、声を押し殺す時に使っていた手を奪われ、噛んだり吸ったりされたのだ。
「他にもつけてんじゃねーだろな」
鏡で確認しようかと思ったけど、体が怠くてやめた。

ゆうべ俺たちは、初めてふたりきりの夜を過ごした。










白夜
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ