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クラスの誰かがケータイを買ってもらったらしく、大きな声で騒いでいた。
その輪の中には、あの野球バカもいて、電話番号を聞かれていた。
この個人情報がうるさく問われている時期に、しかも携帯電話を持っていないから寿司屋の番号を叫んでいる。
バカじゃねぇの。つきあってらんねぇ。俺は少し離れた席で外を眺めていた。
窓ガラスに、山本が映って、俺は顔を顰めた。
他の奴も山本の家の電話番号を聞き始めて、また山本がバカみたいに復唱している。もう、いいかげん俺が覚えてしまった。

調子にのった誰かが、山本の家の寿司を食いたいだの騒ぎだして。
ほらみろしょうもないこと言うからと俺がこっそり呆れていたら
「ん━━今日は、獄寺と遊ぶからムリ」
山本がハキハキと躱した。
そんなこと初めて聞いたぞ。なに俺をダシに使ってんだ。
窓ガラスの山本を睨みつけると
「ごくでらー」
窓ガラスの山本が両手をひらひらと振った。
知るかよ。俺は反応してやらない。
俺を振り回さないでくれ。





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