T

□親子事情
1ページ/4ページ

親子事情










帰宅すると、家には誰もいなかった。
「まぁ、上がれよ」
「……おぅ」
獄寺が、思いっきり不本意そうな顔で靴を脱ぐ。

土曜日の昼間。
試験前なので、部活もない。

3人で試験勉強しようぜと俺が提案すると、ツナが渋い顔をした。どうやらツナは家で家庭教師に勉強を教えてもらうらしい。
俺も一緒に面倒見てもらいたいと言うと、ツナが決まり悪そうに、やんわりと断った。家庭教師と勉強しているところを見られたくないんだとか。変な理由。
そして、場を取り繕うためなのかツナが提案したのが「山本は獄寺くんに見てもらったら? 獄寺くん、お願い」というものだった。
獄寺は俺の前にも拘らずあからさまに嫌な顔をしたけど、10代目が仰るならと渋々承知した。

「待ってて、茶ぁ持ってくる」
「いい。それより、ちゃっちゃとすますぞ。準備しろ」
俺が部屋まで案内すると、獄寺はすぐに勉強モードになった。
「はい…」
仕方なく、俺はのろのろと教科書を引っ張り出した。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ