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□connecting link between us
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誰も、そしてきみ自身も気づいていない癖や仕草を、俺はけっこう知っている。
だけど、誰にも教えない。
何気ないきみが、俺だけの秘密。



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夏の暑い日に
山本の部屋で
ふたりくっついて
互いの欲を煽っている。

「やまもと…」
「…ふあ…んっ…」

お互いが夢中で。
何も考えられなくて。
でも、
誰も来ませんように。
なんてことは、ちゃっかり考えている。

「ごくでら…俺……もう…出そう…っ」
「ぁうっ…あぁ……は…」

山本の噛みつくようなキスは、絶頂が近いサイン。
だから俺は、唇は山本に委ね、指先は嵐のように欲を追い立ててやる。
そうすると、ほら。
山本も、俺の欲を、緩急をつけて擦りだした。

もう、なんでも分かってしまう。
言葉以上に伝わる、きみの仕草。
だけど、ぜんぜん飽きない。
むしろ、みせられる度に優越感に浸ってしまう。


「━━ふうっ」
大きく息をついて、山本が大の字になった。
もう俺が着衣を整える時間があったのに、まだブツを出しっぱなしで白濁の残る手のひらを眺めている。山本が無意識に見せる仕草だ。
「さっさと拭けよ」
俺はそう言って、ティッシュの箱を滑らせた。
いわずもがな、その白濁は俺が出したものだ。
それを満足そうに眺めている山本の様子に、居たたまれない気分になる。

その時、店内から騒めきが聞こえた。
「すげぇ」だの「ほぅ」といった感嘆の中で「本当にいいのかい?」と、親父さんの声。

「なんだろ」
やっときれいな手でズボンのチャックを上げた山本も、店内が気になるようだ。
「見にいこーぜ」
そう言った時には俺の手を握って立ち上がっていた。俺もつられて腰を上げる。
つながれた手については言及しない。人前ではちゃんと離してくれるから。
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