10/31の日記

22:49
脱走兵
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ある日、郵送物を頼まれました。
たった1枚の書類を、たった1人の人間に送ればいいだけの指示です。
私はまず、失くさないように、コピーをとりました。
原本を丁寧に折り、封筒に入れて、糊付けします。
しかし、その直後に、別の書類を入れてしまったのではないかと不安になり
封筒の下をそっと開け、入れたものをもういちど確認しました。
中からは、もちろん、送る予定の書類が出てきます。
ほっとして、封筒に入れ直しましたが、糊を持つ手が止まります。
私はその書類と封筒と糊を持って、ポストに向かいました。
ポストに着いて、もういちど封筒の中身を確認できたら、同封・糊付けして、やっとポストに投函しました。
ところが、ポストに背を向けた瞬間、大きな不安が襲うのです。
ポストの中袋にきちんと入っただろうか。定形外郵便物の方に入れたのではないか。
その可能性に怯える一方で、私は冷静に自分の心情を察していました。

ここにいれば、自分は何もできなくなる。仕事だけじゃなく、何もかも。





気の滅入る冒頭ごめんなさい。
いつも“おひさしぶりです”で始まることが多い昨今なので、変えてみました。
(何もこんな風に変えなくても)

9月から始めた仕事が本当にダメダメでした。待遇ではなく、ただ私自身が。
これまでの社会人生活でも、理不尽に思える腹立たしいことや悔しくて眠れないこともありましたが
ここで感じたものは、それ以前の、新卒だった頃の未熟さをもどかしく思うそれに酷似していました。
分からないことだらけ、独特の体質、だけど未来はそんな会社が増えるんだろうなという予感。
まだまだ働かないと食べていけない世代の自分は、その未来にものすごい不安を覚えました。
派遣先の情報につながっちゃわないよう、詳細は控えますが。
(後で調べたら、世界的に大きな企業だった)

とりあえず教えてくれ。
立ち上げの仕事だからって、本当にたった1人の派遣に丸投げって、普通なの?
「分からないことがあったら遠慮なく尋ねてね」と言ったひとが数日に一度しか来ないって、普通なの?
1日に3回(出社時・休憩前・退社時)の業務報告を含め、やりとりはなんでもメールでって略
ニホンゴ、ワカラナイヨー!マッサン!!(はまって観てます)

今の時代、まだまだ60代以上の方でもバリバリ出社して、それなりの発言権があるじゃない?
「データじゃなくて紙!紙で提出しろ!!」て言っちゃって、若人が呆れ顔になっちゃうような。
そんな年齢層がいないから、どことんデータ重視型なんですよ。
私、めちゃくちゃ取り残されていって…(死)
しかもみんな、超高学歴なの。婚活パーティーにいったら手足もぎ取られんばかりの。
そこに対する劣等感もあったんだと思うんだ。
なに言われてもよく分かんなくて、何度も噛み砕いて教えてもらって。
でもね、やっぱり、それでも、お互いの理解度に相違があるんです。

例えていうなら
「肉じゃがをつくってくれ」と一言リクエストされたので
特に大きな失敗もなく作ったのに
「牛肉?関東は豚肉だよ」とダメ出しされるような。
自分では100点中60点ほどしか到達できていないことに自己嫌悪を覚えるのだが
その実、彼らは「味噌汁とごはんは?作ってないの?ふつうセットでしょ」と
120点のものを要求していたという、知らず溝が生じていることが頻繁にありました。
これじゃお互い、ストレスも溜まるに決まっている。
“向き・不向き”という言葉は使いたくない。その前に歩み寄って自分が向くべきだ。
今まで、そうやってどんな仕事も好き嫌い言わずに取り組んできた私ですが
初めて「フランス語わかんねー奴はフランスで食ってけないかもしれない」と思ってしまいました。

そして、私は、目に見えて仕事が遅くなりました。
どんな小さな失敗も許されないというプレッシャーに圧され、空回りして、うまくいかない。
とても注意深く、とても注意力散漫になっていました。
それを如実に表したものが、冒頭の「書類を郵送できたまでの一連」でした。
社会人になってからの習慣で、指示は全て書き留めるので、それを実行すればいいのです。
なのに、その書き留めたものを見て長考する時間が日を追うごとに長くなり、
数日後には、その文章が本当に聞きとれているのか疑わしくなり
そもそも、それらの文字の羅列さえ本当に自分で書いたものなのか曖昧になってくる。
ついには言葉も奪われたように出てこなくなり、上手にものを伝えられなくなりました。
身内に「恒例の新卒社会人いじめ」のターゲットになった者がいますが
辞めさせられる直前の、精彩の欠けたあの状態がこんなものだったのではないかと思いました。

派遣会社も、様子をみに訪問したときに
「もう東海さんとは契約更新しませんから、その時はちがう社員をお願いします」と言われたそうだ。
そうはいっても、その契約期間が切れるまでが長くて「短縮する?」と派遣会社に言わせた私の体たらく…
自分が仕事ができないのは、どうでもいい。メンツなんて要りません。
ただ、このまま契約最終日まで居座ったら
この会社にかかる迷惑は言わずもがな、派遣会社の評判も落としかねない…
本来なら会社ごと契約解除されるかもしれないところを「チェンジ」で済んだので
情けないけど、契約の短縮を選択しました。
まさかこの歳になっても、酒に溺れて号泣する夜があるとは思わなかった。
初めて出社した自分を見かけたら、「やめろー!!」とどんな手を使っても阻止したい気持ちでした。


まあ、それも、もう数週間前のこと。


すんごく長い報告になってしまいましたが
そんなことがあったので、オンタイムでの日記は書けませんでした。

ちなみに現在ですが、契約解除した翌日から、某公的組織でお世話になっています。
派遣会社に「リハビリ気分で行ってこい」と言われた時には先方になんと失礼なと思いましたが
“リハビリ”なのはシンプルな作業・短時間の就業時間というだけで
取り扱うものはとても奥深く、これを理解すれば、公的機関でパート募集があった時には強みになるのではと思っています。
同じ苗字のひとがいるので、区別するために、ファーストネームで呼ばれています。
少しずつですが、大きな声で自分の言葉を使うことができるようになり
こんな風に、日記を書きたくなりました。
簡潔じゃないところに、まだカサブタ感がみえますが。笑


1か月の私に対する評価は「控えめで、頑張っているけど偉そうにしない。でも…」でした。
無理やり頑張って褒め言葉にしたこの評価は、しかし私の現状だと思います。
新しい価値観にシフトしていく必要性を知り
自分はもっともっと柔軟にならなければと思い知った
そんな1か月でした。


最後までお読みくださり
ありがとうございました。

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