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□New!♪「≪裏≫物語」
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【X'mas】


普段和食しか作らない台所からフワリと甘い香りが漂ってくるのに気が付き、雲雀は目を開ける。

冬休みが始まって直ぐにとある条件を出して家庭教師からも公認で、一人暮らしの部屋に連れ込んだ。
「……いない…。」
寝起きの掠れた低い声で、朝に弱い筈の恋人を隣に探す。
皺が寄るシーツを探ると、既に隣に居た筈の場所は冷たくなっていた。
「珍しいね…。」
朝寝坊の常習犯が、自分よりも早起きなことに、ムクリと起き上がり欠伸を一つした。

半分しか開いていない目を数度瞬きさせ、ポリポリと後頭部を掻いてからベットから降りた雲雀は、甘い香りを漂わせる犯人のいる台所に足を向けた。


雲雀の予想通りに可愛い恋人が、必死な形相でオーブンとにらめっこをしている。
「おはよう、綱吉。」
可愛い背中に声を掛ければ、可愛い声で「おはようございます。」と、笑顔で返してくれる。
「朝からお菓子かい?」
料理上手な母親に習って、料理を覚えだした綱吉の作るものは、雲雀の好きなハンバーグに始まり、和食からお菓子作りにまで至った。
不器用な綱吉は皆の心配を余所に、意外な程の上達を見せて彼の家庭教師にすら「…お前つくづく女に生まれりゃ良かったのになぁ…雲雀とのガキ沢山作ればそれこそボンゴレの繁栄万々歳じゃねーか。」とまで言われる程の腕前だ。
勿論、雲雀も綱吉の作る料理が好きで、家に居るときは勿論お昼のお弁当まで作って貰うほどだ。
「はい!今日はクリスマスのパーティーの料理です。…あ、ご飯出来てますよ〜。顔洗って来て下さいね。」

可愛い笑顔で、言われた雲雀はコクリと頷き洗面所に向かった。
顔を洗い、簡単に着替えて居間に向かえば優しい出汁の香りがする。
「和食かい?」
「はい。夕食が洋風なので、朝は和食が良いかと…。」
コトリと、丁寧に白米にお味噌汁を置いて綱吉も雲雀の前に座った。
「ご飯食べてなかったの?」
「はい。ご飯は一緒に食べたくて。」
ふにゃりと笑う可愛い綱吉に雲雀は、テーブルに手を付いて上体を伸ばして小さな口唇にチュクッと音を発てて口吻をした。
「…はぅ…」
「朝にイチャイチャ出来なかったからね。」
にっこりと綱吉にしか見せない笑顔で微笑み、雲雀は箸を取り味噌汁に口をつけた。
いきなりの口吻に顔を赤くしたままの綱吉も、箸を取ると同じように味噌汁に口を近づける。
「すいません…。スポンジケーキ自信無くて…早めに土台作りたかったから…」
「良いよ?今日の夜は沢山綱吉とイチャイチャするからね…。朝までたっぷりとね…。」
「………!!!!」

一瞬きょと…っとしたあとに、ボッと顔を赤くした綱吉はお味噌汁を口に出来ずに、そのまま置いた。

(そ、…そ、そ、それはつまり…あの…つまりそーいうこと…なのかな……)


あの最強風紀委員長と恋人になって早3年。
17歳、16歳になった二人は高校生だった。残された日本での生活を二人で良く過ごすようになったのは、雲雀が高校に入学してからになる。
そんなに離れた場所に有るわけではないのに、会う機会が減ってしまった穴を埋めるように、雲雀が綱吉をよく拐ってくるようになったのがきっかけだ。

「今日は寒いですね。雪…降りますかね?」
「……さぁ?どうだろうね…?」

他愛ない会話をしながら食事を終えた二人は出かける事もなく、ただ二人で寄り添い一日を過ごした。
朝から用意していたX'masの生クリームたっぷりのケーキも料理も二人のお腹に(殆んどが雲雀の…)収まり、すっかり夜になった二人は、雲雀の主寝室でベットに横になっていた。
勿論、ただ横たわるわけではなくギシギシとベットを揺らしスプリングの音をさせて、甘い吐息を溢しあい互いを貪るようにして身体を繋げ合う。

「はっ…はぁ……恭弥…さ…ちょ…っと待って…っあぁっ」

綱吉の声を遮るように奥へと突き上げた雲雀の鍛えられた腹部には、べっとりと綱吉が何度も吐き出した白濁の体液が零れている。
「…あっ…ああっ」

飽きる事ない雲雀の責めに綱吉の息は早く声は掠れている。
「駄目…まだ離してなんてあげないよ…。」

秀麗な顔はそのままに普段の理知的な表情は、快楽と欲望に取り憑かれたように眉を寄せ、白い頬を僅かに桃色に染めた雲雀は綱吉の言葉を制してそのまま身を進め更に深く沈める。
全身を桃色に染めた綱吉は、深い所で何度も突かれる衝撃と与えられる快楽に何度も甘い吐息と悦楽に支配された嬌声をあげる。
「…ひっ…ぃあ…あぁ…っん」
互いが繋がりあう部分からは、絶えず絡み合う水音が鳴り続ける。
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