シリーズ物語

□ようこそ!ボンゴレへ!!4
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ニヤッとリボーンが人の悪い笑みを浮かべる。
「ディーノと組んで、世界デビュー…ってヤツかな?」
ピクリと雲雀の眉間に見事な皺が寄った。
よく、東洋と西洋の対極美として雑誌に取り上げる出版社は多く売り上げもかなり伸びるため仕事がよく重なる。
ファンの間でもよく自分達を噂しているのは知ってるが、雲雀はそのディーノに異常な程に嫌悪というよりは殺意を持っている。
理由は数々有るが、何よりも『綱吉』に関してがダントツである。
未だ綱吉が仕事を覚える為に付き人のような仕事を手伝っていた時に自分より先に綱吉に付いてもらい、当時のマネージャーがリボーンだった事で今やすっかり綱吉の兄貴気分でいることだ。
綱吉も何処が良いのか憧れの人です。堂々とと言い張る。

全く以て面白くない。

「………僕にアレと組めと言うの?」

ピキピキと音が鳴りそうな程に雲雀の眉間と額には青筋が出来ている。
「ま、待った!待って下さい!」
愉しげにその様子を見ながら「じゃあ、それで良いか?」と口を開いたリボーンの声に被る様に綱吉は間に入って来た。
「……何だダメツナ?」
綱吉からストップが掛かるのは、分かりきっていたリボーンはニヤニヤとしながら綱吉に先を促す。
「どうしても、骸も雲雀さんも駄目ですか?!俺は…皆の足引っ張っててこんなこと言えた立場じゃないんですが…。」
どうしようと、一度下を見て直ぐに顔を上げる。
真っ直ぐに自分達を見つめてうるうると泣きそうな瞳で訴える姿は、雲雀や骸のみ為らず室内に揃えられたメンバー全員の心を掴んだ。
顔の整った美形メンバーが全員悶絶している姿は、とても表には出せないな。と思いながらも、リボーンも顔には出さないままじっくり堪能する。
その様子に気づく事なく綱吉は駄目ですか?と、小首をかしげながら話を続けている。
「俺は、皆と…一緒にお仕事出来て楽しかったし………これからも、一緒に居たいんです。」
メンバーは胸を抑え、やや荒く息を吐いたり、口を手で隠したりしていた。

「だから、一人増えてもきっと楽しいと思うんです。…………もちろん、コレからの雲雀さんや骸が仕事方向変えたかったり…その、別のお仕事したかったり…したらそれは、我が儘言えませんけど…………やっぱり…駄目ですか?」
涙一杯の瞳を二人に向ける。
微妙に震えて、潤む目許は紅い。そんな状態の愛しい人物に、下から見つめられて『何者にも囚われない』『本当の心は誰にも見せない』と言われる美形二人は、普通の人間には判別不能ではあるが、心拍は上昇、手にはぬるりと汗をかいて、心臓はわし掴まれたかの様にきゅうきゅうとしていた。

(完全陥落してやがる…流石俺が見つけただけあるな。)


「…………すいません。雲雀さんがディーノさんと組むのとても良いお話デスよね…。骸だって…歌とか踊りよりお芝居の方が向いてるのに……俺我が儘言ったりしたら…っ」
「もうっ!何言ってるんですかっ!アヒル君はあの金髪と組むべきですし、彼も望むでしょうが僕は最初っから綱吉君と離れたりしませんよ!?」
むぎゅうっと抱きしめ、華の顔を堂々と崩し栗色の小動物に抱きつく。
しかも、片足で直角に曲がったオプション付きだ。

その姿は、疲れて帰宅した独身男性がお家で待っていたペット(主にウサギ、ハムスター、仔猫、仔犬)に赤ちゃん言葉で擦り擦りと頬を寄せるようだった。

「ダカラ、泣いたりしないで下さい。」
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