シリーズ物語

□ようこそ!ボンゴレへ!!
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スタッフの間には『ヒィ〜〜〜〜〜〜〜』と声に成らない叫びが響いた。
「骸っ!わがまま言っちゃ駄目だって言っただろ!?スタッフの皆さんも困るだろっ」
拳を華奢な腰に宛て怒る姿は可愛らしいが、数々の骸気に入らないヤツには…列伝を聞いた事のあるスタッフは全員震えた。

しかし、予想に反して骸はニッコリと笑う。
「えへっ、怒らせてしまいましたね。すいません。ただ、たまにはステージにいる綱吉君を見て見たかっただけなんです。」
ニコニコ笑ったまま、自分を殴った筈の小さな拳を両手で包みながら一緒にステージまで歩き出した。
ステージに着いても骸は小さな手を放さずにニヤケた笑顔のままだった。
「オイ、テメェ骸っ!10代目に迷惑かけてんじゃねぇ!」
「さっさと手を離してリハしましょうや…。」
「…………ホントにムカツク。」
ステージで待っていた三人は一様に骸に怒り牙を剥いた。

「皆っあのスタッフさん待ってるからっ…すいませんでした!リハお願いしますー。」
中央でペコっと頭を下げる姿に、先程までプロデューサーの横にいた青年は、「はぁ〜随分言うこと聞くんですね〜。でも、10代目ってナンスか?」関心しながらも小さく聞いてくる。
プロデューサーの女性はそんなことも知らないのか?と目を見開く。
「沢田綱吉は彼らが所属する事務所の次期社長なのよ…。」
「へ〜」
一瞬あの少年がねーと言い掛けて皮肉に口許を歪める。
「…じゃあ、次期社長の権限でボンゴレに入ったんすかぁ…うわぁ〜。それに、あのメンバーが媚びるのも次期社長だからですかぁ〜…うわぁ。」
数々の伝説を持つ少年達も所詮権力には勝てないんですねー、にしてもあんなに子供みたいな顔をしてスッゴイなぁ〜あのコ。と、言いながらステージに立つキャラメル色の光を放つ少年を見る。

腕を組んだままの女は、隣で話続ける青年に一瞥をして小さく息を吐き『コイツは使えない…。』と心で呟く。


リハーサルとは言え、確かに完璧に躍り、歌う他の少年達と違いドンくさい。
ソレを見て、隣の青年は更に口を歪める。



この少年のソコだけ見たならば、確かに芸能界では使えない。
しかし、彼の真価其処では発揮されない。
地位も経験もある女性は、特に気にする様子を見せずにいた。

ソレから、三時間後生放送というカメラが回った状態で小さな少年は一度のミスも無く金色の光を纏わせた。


人気アーティスト集団『ボンゴレ』には、彼が居ないと始まらない事を知らしめた。
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