シリーズ物語

□ようこそ!ボンゴレへ!!6
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『REBORN!(仮)』と、書かれた厚みのある紙が机に置かれる。

「学園モノ?」
キョトンと、一枚目の紙を恐る恐る指先だけで捲る。
「………っん?これ主役リボーンじゃないかぁぁ!!?お前マネージャーだろっ?」
「赤ん坊はマネージャーになる前は役者もしていたからね。」

「企画、発案、スポンサーも版権も総てボンゴレだ。ドラマならたった数ヶ月で終わりだがなっ、人気如何によったら舞台にもできるぞっ」
小さな指が数を数えて折られていく。
「舞台ってあんまり儲け無いからヤリタクナイって言うのが事務所的な意見ですよね。普通は…」
別の事務所から移籍してきた骸も不思議そうに捲られた紙を見つめる。
「だからこそ最初にドラマにすんだよ。あ…俺10代目の右腕役ですね。」
「……ふーん、そんなもんなのかぁ。おっ俺ツナの親友かぁ。」
構成案が書かれた紙を楽しげに見ていた山本も声にだす。
綱吉にいかに近いかが、彼らには大切な事だった。

「……………ちょっと待って下さい。なんで、僕の出番が半ばより後でしかも綱吉君の敵なんですかっ!?」
バンッと、大きな音を発てて骸は紙を机に叩きつけた。
「学園モノには、強大な敵が出てこそ盛り上がるもんだぞっ」
「なら、それは雲雀恭弥で良いじゃないですかっ!!」
「やだよ。それに、強大な敵と守られるヒロインは、バトルアクションの鉄則じゃないのかい?」

淡々とした雲雀の声に、獄寺、山本は頷く。
「学園マフィア育成モノだぞ?」

「それ、色々おかしな設定過ぎだぁ〜っ!!!」
綱吉の大きな声が、事務所に響いた。
「それにな、雲雀には大事な役割あるから敵には出来ねぇよ。」
「ならせめて、同じ学校にしてくださいっ!」
納得出来ないと、尚もリボーンに詰め寄る。
「……つまらないからダメだぞ。…それに、人気が出て舞台が続けば…お前もツナの仲間だぞ。大体王道だろうがっ。」

「……確かに…敵のボス又は精鋭戦士とヒロインが恋に堕ちるのは王道ですね。くふふ…。」
くふふ。と、特徴ある笑みを作り顎に手を宛てるが、当の綱吉は珍しいドラマの構成案や台本に夢中だ。
「あ、京子ちゃんやディーノさんもでるんですね〜。あれ、じゃあヒロインって京子ちゃん…?」
骸が顎に宛てた手をガクリと落とす。
「何言ってるんですかっ!?ヒロインは綱吉君以外には考えられ無いですよっ!」
顔を眼前まで突き出し叫ぶ骸に綱吉の小さな手が、ストップを掛けるように突き出される。
「俺とお前が闘うのに?」
若干冷めたような声で遮る。

「お?制服ブレザーか?骸の学ランなんか…アーミーチックだな。」次々とページを捲る山本は、骸の異議も耳に入っていないようだ。
「ドラマのラスボスは骸だな。でも、人気高くて2とか作るならラスボスはXANXUSだぞ。」
「え?XANXUS兄出るの!?あ、じゃあスク兄も?」
綱吉は強面で、ぶっきらぼうではあるが昔から自分には優しく、お土産をくれる従兄弟のXANXUSと、それにお守りのようについているスクアーロが大好きだった。
最も、二人とも世界を舞台に活躍している為に頻繁に会える訳では無いのだが、優しく面倒見の良い二人を綱吉は昔から大好きだった。
「………ソコまで考えているなら、君ドラマでもかなり先を考えているんでしょ?」
「当たり前だぞ雲雀。ちなみに今は3部まで構成案は出来ている。」

ニヤリと微笑んだ青年は、時代劇の『悪代官』にしか見えない。

「………で…何でマフィア…?色々規制ありじゃないか…これ…。」
「ダーク・ヒーローみたいなもんだな。小さな少女から大きな子供(♂)も大好きなアニメふたりはプリキ●アもブラックが主役だしな。何だかんだで、黒は好かれるもんだぞ?」
「だからなんでマフィアチョイス?!!!」
綱吉にしてみたら、マフィアは血で血を洗うような残虐で凄惨なイメージしかない。
それを敢えて、夜中でもない時間帯のドラマ枠に『学園』モノとして、日曜朝の特撮でも無いのに『バトルアクション』まで付けてドラマにするか分からない。
と、綱吉は叫ぶが、当の発案者は『だってやりたかったんだモン』とのたまってくれた。


「銃とかは使いづらいだろ?」
「俺刀使いみたいだぞ?」
「戦国武将?!」

何やら色々入り混じる設定に早くも綱吉は頭が混乱しそうだ。と、頭を抱える。
「ディーノさんは…鞭…?」



シーンと、部屋が静まり返った。

「…金髪女王様…だな。」


昨今鞭と言われれば、ボンデージに短い馬上鞭か、キャットオブナインテイルのバラ鞭。
まだ年若い少年達がその様に想像してしまうのは致し方無い。
山本がポツリと呟けば、全員の脳内では際どいカットをされた赤や黒のボンデージに身を包んだディーノが、ビシバシと鞭を振っている図が浮かぶ。
もっとも、振るわれた相手が『誰』かか、『振る本人』に当たるかはそれぞれ想像次第ではある。

「……おめぇら…鞭っても、西部劇に出てくるような長いウィップクラッキングのだぞ。意外に全員むっつりだな。」
長テーブルの端、所謂「お誕生日席」に座るリボーンは呆れる程の想像力にため息を溢した。
 

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