シリーズ物語

□ようこそ!ボンゴレへ!!4
1ページ/3ページ



ビリビリと壁が震えたような錯覚になるほどの大音量に部屋の外に居た筈のスタッフが、動きを止め部屋の様子を伺う。

とはいえ、只今部屋には手の付けられない猛獣が放たれた状態の為に、外からそっと音で伺うしか出来ないのだが…


しんとした様子の後、マネージャーであるリボーンの「うるせぇ」と言う響きが壁を突き抜けて聞こえた。


―――――――――――――――――――――………‥

「ちょ、ちょっと待って下さい。いきなりメンバー加入って?」
「冗談でしょ?これ以上僕に群れろっていうの?」
「これ以上増えてどうするんですか?」

三者三様に返っては来るが、困惑と反対意見のみ。
とはいえ、獄寺、雲雀、骸の三人である。
わざと大きなため息をつき「ほらな」と、リボーンは舌打ちをする。
「別に無理に加入に賛成しなくても構わないがな?雲雀も骸にも無理させるつもりもねーよ。」
じゃあ、何故?と言いたげな骸に向かい意地の悪い笑みを向けた。
「まぁ、もし駄目な場合はそいつとツナがユニット組んでデビューなだけだ。あぁ、山本も入れるかな。」
「!!!?」
正に、自分達の切り札を出され息を詰め剣呑とした目をリボーンに骸は向ける。
「何で山本も?それにもし、そうなったら『ボンゴレ』との二足鞋何て負担が増えて10代目のお身体が…。」
自分ではなく山本のみの抜粋に苛立ちながらも現実問題を掲げる。
実際、彼らの仕事はかなりの過密に組まれているために身体を壊す可能性は高い。
「……まぁ、そうなった場合は解散だな。お前等には個人活動になる。良かったじゃねー
か?コレでお前達の大嫌いな仲良しこよしが終了じゃねーの。」
「冗談じゃありません!なんで綱吉君が居ないのに、この事務所で働かなければならないと言うのですか!?」
事実、骸は綱吉が居るという条件で別の大手事務所から移籍をしてきた。
「…お前の移籍費を幾らだと思ってやがる。」
それも、かなりの無理をした話だ。本人の強い要望で(半脅しとも言う。)実現出来た話だ。
「そんなのは要らない筈だったでしょう?そういう話を付けた筈です。」
ギリギリと猛獣の様な目をして、敵意を隠さずにリボーンに向ける。
「テメェ個人の話じゃねぇんだ。事務所として、そこは話つけないといけないんだよ。…
別に、お前が逃げるなら構わねぇよ。全部ツナに廻るダケだからな。」
「綱吉君は関係無いです。」
「お前の面倒みきれなかったリーダーの責任だ。」

蛍光灯の輝く室内の筈なのに暗雲立ち込める空気はビリビリと肌を刺す。

「心配しなくても、ダメツナと仕事がかち合わない様にしてやるから心配すんなよ。俺は優しいからな。」

同じグループでも無くなり、仕事も合わせないようにされれば骸が綱吉に逢える確率は格段に下がる。
普段なら『別に構いませんよ?』と余裕で笑みを浮かべ部屋を出るだけだが、このマネージャーは確実に今後掠る程度でも会えなくするであろう。
あまり長くは無い付き合いで、その仕事振り、冷酷なまでの徹底振りを知って居るために骸はそれ以上強くは出ることが適わない。
それに、彼には綱吉に会えない事程の苦痛を知らない。
まして、あの小さな背に背負わせたくは無かった。

「………はっ。雲雀はどうする。」
先程より黙った状態で二人のやり取りを見ていた雲雀にリボーンは話を振る。
彼も、骸と同じ様に綱吉の為に此処にいる。
しかし、骸と違い「…僕は元から事務所変わらないからね。それじゃあ縛れないよね?仕事を合わせないって言われてもね…。無理だよね?だって、赤ん坊が何を言っても綱吉が僕に会えないなんて堪えられる訳無いでしょ?」
極めて、冷静に言う。
確かに、世間一般で言うなら二人は『恋人』になる。
綱吉が雲雀に会えなくて憔悴する可能性はかなり高い。
雲雀の場合、可愛く倒れる事は無く…仕事に支障をきたしてくれるだろう。

その事を知った上でこのマネージャーがどうするか気になる処ではある。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ