シリーズ物語

□ようこそ!ボンゴレへ!!2
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「お疲れさまでした〜。」

大きな御開きの声と共に、幾つもの人が動き出す。
小さく挨拶をしてスタジオを去る者、出演者同士で騒いだり、後片付けに奔走するスタッフ。

その中でも一際目を惹くのに、周りに他人を寄せ付けない雰囲気を纏わせた集団がある。
そのまま移動するかに見えた一団に一人の女性が近づいてきた。

ピクリ優美なと眉を跳ねあげる数名にニコリと微笑み、黒いスーツ姿の彼らのマネージャーであるリボーンに声を掛けた。
「今日も、ありがとうございました。おかげで番組的にも大変盛り上がり、ウチの若いスタッフには人を見る目を持てと勉強になりました。あのような逸材を集め纏めるとは流石ですね。」
紅い唇に嘘の無い言葉を乗せると、リボーンはニヤリッと口角を上げる。
「まぁ、目を付けたのは流石俺様だがな…あの個性の塊を纏めてんのは俺じゃあ無いがな。」
後ろの集団をちらっと見て笑う。
ふふふっと柔らかい笑いを残して去るプロデューサーの背に「今日もありがとうございました〜。」と、声が懸かる。
問題集団の中にあり、先程まで光輝く気を纏う雰囲気は成りを潜めた小さな少年の声だった。

ソレを見た山本も「お、そだな。お疲れさまーす。」と被せて来た。更にソレを見た獄寺も一瞬苦い顔をしつつ頭を下げる。
メンバー内でも比較的穏やかな山本と綱吉は仲が良いことで有名なので周りも穏やかに見て、更にその二人に嫉妬心を燃やす獄寺はファンのみならず有名なのでソコでは苦笑いを送る。


出口に差し掛かった所で、綱吉は少々興奮気味に手を取られた。
「俺、凄い感動しましたっ。」
「……えっ?あの、あ、ありがとうございます。」
少々退け反り気味に、それでも笑顔で対応する。
リボーンは軽く口笛を吹いて様子を見ている。
それは、番組のスタッフでリハーサルの時にプロデューサーである女性の横にいた青年だった。
キラキラと目を輝かせた彼には、後ろに渦巻く障気並みのオーラが見えてはいない。
尚も手を握り綱吉に話しかけるが、その手を後ろから伸ばした手に引き離された。
「……雲雀さん。」

綱吉の手を握ったままで、冷たく言い放つ。
「君、何時までも綱吉の手を握って無いで仕事戻りなよ。」
「っ!」
そこで、青年はメンバーから発っせられた冷たい空気に気付いた。
青年が口を開くその前に骸も二人の間に割り入る。
「君ごときが…っ」
「もーっ、骸も雲雀さんも言い方怖いですよっ!何で『お仕事戻らないと怒られますよ?』位言うのにそんな言い方なんですかっ!?素直じゃないですよ。」
ドコかズレた意見をしながら又空いた手で骸の背をを軽く押し、雲雀に繋がれた手をぶんぶんと振り回す。
手は繋がれたままなので、雲雀の腕も大きく旋回する。
ちょっと異常な風景だ。
しかも、手はずっと繋がれたままで互いに放す気配もない。


「…じゃあ、次の仕事ありますので、僕らはこれで失礼しますね。」
押された箇所を嬉しそうに撫でながら、ニッコリと…しかし、青年に向けた目には冷たい光を放ちながら優雅にエスコートするように出口から消える。


彼らが消えて一分程経過してから、スタジオには詰めた息を吐き出す音が響いた。


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