シリーズ物語

□ようこそ!ボンゴレへ!!5
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「…き…緊張するねっ…」
胸の前に手を持ってきた綱吉は、まるで、合格発表の時のように緊張で震えていた。
「…オメーが緊張しても仕方が無いだろ…」
「…うっ。確かに、そうなんだけれどさぁ〜っ。仲良くなりたいじゃんっ!やっぱり、第1印象は大事な訳だよっ!」
「仲良くなぁ〜…。お前、骸や雲雀みたいなんだったらどうするよ?」

ピシッと、空気が凍りつく音が狭い部屋に木霊した。
「……………………………マジですか…リボーン様。」

「骸も雲雀さえもたらしこんだお前ならもう一人増えたって変わんね〜だろが。」
出されたエスプレッソをクィッと飲み干す。
いやいやいやいやいやと首を物凄い速さで降る綱吉の心情を知ってか、ニヤリッと人の悪い笑顔をしたままテーブルに置いた白い陶器を軽く指で弾く。
リボーンがお代わりを要求するときの癖だ。
「……普通さぁ、マネージャーが煎れるんじゃないのかよ…。」
デカンタを手にした綱吉は、ブツブツと小さく文句を言いながらも継ぎ足す。
「雲雀の付き人期間が有ったせいか、お前が煎れるのは美味いからな。」
注がれた陶器を手にして、鼻に近づける。
「雲雀さん…そういうのウルサイから、スタッフの煎れたの飲まないし…でも、あんまり珈琲は飲まないよ?紅茶好きみたい。」
少しだけ昔の事を思い出して、ふんわり笑う。
未だに、他人の煎れたモノは飲まないらしく、仕事が別々の時は、綱吉が朝に煎れたポットを雲雀に持たせている。

『これ、いつものです。』
と、渡すと無言ではあるが、コクリと頷き受け取る雲雀の姿は綱吉のお気に入りだ。

「餌付けみてーだな。」
ポツリと、リボーンは小さく溢して笑う。
あの、誰にもなつかない野生の猛獣が、こんな小さな動物にだけ心を許した。

「なぁ、何で俺だけ先なの?今日歌特番だろ?」
ドラマの収録がある骸や山本、スチールの撮影の雲雀や獄寺は後入りになる。
なら、まだリハーサルすら始まらない時間に入らなくても…。と、首をかしげる。
「…今日の撮影何も無いと良いがな…。」
不吉な事を呟くマネージャーに、綱吉は顔を青くする。
こんな時は怖い位にこのマネージャーの勘は当たるのだ。
「む…骸や雲雀さん…暴れないと良いなぁ…。」
思わず遠い目になった綱吉は、過去何度も有ったスタジオ破壊事件を思い出して涙がでた。
「そん時は死ぬ気でお前が止めれば良いだけだろ。」
「むーりーっ!いつも、あの危険な渦中に俺を蹴り飛ばすなよなっ!」
そうすれば、途端に嵐は鎮まる。マネージャーはわざとそこに入れるのだ。

「あ、ジュース買ってくるね。」
台本を捲りながら、何度も叫んだ為に喉が痛んだ。

幅50センチ程の鉄の扉を開けて、部屋から数m先の自動販売機に足を向ける。
お気に入りの炭酸と、スポーツ飲料を手にした綱吉は立ち上がった瞬間スタッフの声が耳に入って来た。
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