気まぐれプリンセス
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「お姫様ァ〜!!」
ガバッと突然膝の上に飛び乗ってきた馬頭丸に洗濯物を畳んでいた手を止め、泡はクスリと笑いを零した。
「ふふふ、どうしたの馬頭丸」
被る骨(?)の上から優しく頭を撫でれば彼はへへへ、と照れたように笑う。
「牛頭丸が『修業、修業』って煩いから逃げてきたんだ。少し位遊びたいのにさー」
ブーっと頬を膨らませ、ふて腐れる馬頭丸が何だか可愛らしく、クスクスと小さな笑い声を上げた。
「そうね。修業も大切だけど遊ぶ事も大切よね」
「でしょー!お姫様は話が解るよ」
嬉しそうにそう言って、馬頭丸は泡の膝に顔を埋めた。
すると、ふわりと鼻孔を擽る優しい香りがすることに気づく。
普段の彼女とは違うこの匂いは空に輝くあれと同じ─
「お日様の匂いがするー」
ポカポカ太陽の優しくて暖かい、それはまるで日だまりのような。
「縁側で洗濯物を畳んでいるからかしら。今日はとても良いお天気だし」
頭上から降る凛とした声が耳に心地好い。
このままここで寝てしまいそうな、彼女独特のゆったりとした雰囲気に包まれる。
「いいなー…」
「ん?何が?」
「リクオはお姫様みたいなお姉ちゃんがいて。羨ましい」
口を尖らせ、ポツンと呟いたその言葉に金色の目がパチクリするもすぐに優しげに細められた。
「あら、私はもうとっくに馬頭丸のお姉ちゃんのつもりでいるわよ」
「本当?」
「ええ。だからいつでも甘えてきなさいな。私はアナタの"お姉ちゃん"なんだから」
「へへへ」
ギュッと腰にしがみついてくる腕が本当に可愛らしくて、もっと甘やかせたくなる。
「洗濯物が畳み終わったら一緒におやつにしない?頂いた洋菓子があるのよ」
「食べる!」
「ふふふ、じゃあもう少しだけ待っててね」
にこやかに微笑み、残りの洗濯物の山に手を伸ばすと「あのさ…」と下から遠慮がちに声がかかった。
「終わるまでこのままでもいい?」
膝に顔を埋めたままだから表情は伺えないけれど、その声色から少し不安げなのだという事が伝わる。
─断るはずがないのに
「いいわよ。すぐに終わらせるわね」
「うん!」
甘えん坊なその子が微笑ましくて、夕餉のデザートは大盛りにしなくちゃ、と密かに思った。
甘えられる時に甘えておけ
(おい小僧、いい加減泡様から離れろ)
(べー、だ)
(貴様……!!!![怒])
(黒羽丸、大人気ないわよ。メッ)
(Σ!!??)
end
拍手リク『馬頭丸ほのぼの夢』です)^o^(
ずっと離れない馬頭丸にお怒りの黒羽丸。
しかも泡様に怒られショック受けちゃったという(←笑