Short Story

□誰にも気づかれないように
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プリント渡す時に指が触れても、

ふとした時に目が合っても、

学校一可愛い子がアイツの事を好きだという噂を聞いても、

『私には関係ないわ』って素知らぬ顔。


周りの子みたいに一喜一憂するのが苦手。
アイツに振り回されてるみたいで癪だもの。


…なんてそんなのウソ。本当は─

大きな骨張った優しい手に触れたいくせに

切れ長の黒い目にドキドキしてるくせに

その甘く低い声で名前を呼ばれたいくせに


「なァ、消しゴム貸してくんね?」


弱虫な私は今日も素っ気ない態度で、
 溢れ出しそうな想いを隠すのに手一杯。




end

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