書巻物
□Be mine
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いつも傍にいてくれる
たったそれだけの事が、まだ八歳の私を支えた。
「大丈夫か?」
嬉しかった、そのひとことが。
嫌われたくない、その一心で。
私は本当の自分に蓋をしたのだ。
それが今の私の始まり。
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瑞悸18歳
「こら!!!待て!!」
「瑞悸〜」
近藤さんが、歳を追いかける様子をほほえましく思って見つめている。
「どうしたの?」
「また、女の子吹っかけて、奉公先追い出されたんだ!!」
「あらら、これで何度目?」
「…四度目だ。」
本当は五度目だけど…
瑞悸は、にこやかに笑っている。
無口で幼い宗次郎は、瑞悸が大好きで、膝の上で眠っていた。
ちょっと羨ましかったりする。
「瑞悸、一言言って遣ってくれ。」
「瑞悸なら、解るだろ!?」
ー私は女だからなぁ。
ただ、男の子がそれを求めるのは当たり前の事なんだけど…
「余り、やり過ぎも良くないよ?」
ー瑞悸が相手をしてくれれば、な。
でも、そこらの女と築く関係より深い想いだからこそ、そんなことが言えずに、喉の奥に飲み込まれていった。
「宗次郎、こんなところで寝てたら風邪ひくよ?」
宗次郎は、眠いらしく目を擦って、ポケーっとしている。
だが、近藤さんがいると知って、正座をして
「若先生;申し訳ございません」