書巻物

□Be mine
1ページ/1ページ

いつも傍にいてくれる

たったそれだけの事が、まだ八歳の私を支えた。

「大丈夫か?」

嬉しかった、そのひとことが。
嫌われたくない、その一心で。
私は本当の自分に蓋をしたのだ。

それが今の私の始まり。


▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

瑞悸18歳

「こら!!!待て!!」

「瑞悸〜

近藤さんが、歳を追いかける様子をほほえましく思って見つめている。

「どうしたの?」

「また、女の子吹っかけて、奉公先追い出されたんだ!!」

「あらら、これで何度目?」

「…四度目だ。」

本当は五度目だけど…

瑞悸は、にこやかに笑っている。

無口で幼い宗次郎は、瑞悸が大好きで、膝の上で眠っていた。
ちょっと羨ましかったりする。

「瑞悸、一言言って遣ってくれ。」

「瑞悸なら、解るだろ!?」

ー私は女だからなぁ。

ただ、男の子がそれを求めるのは当たり前の事なんだけど…

「余り、やり過ぎも良くないよ?」

ー瑞悸が相手をしてくれれば、な。

でも、そこらの女と築く関係より深い想いだからこそ、そんなことが言えずに、喉の奥に飲み込まれていった。

「宗次郎、こんなところで寝てたら風邪ひくよ?」
宗次郎は、眠いらしく目を擦って、ポケーっとしている。

だが、近藤さんがいると知って、正座をして

「若先生;申し訳ございません」
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ