REBORN!2
□自分犠牲主義者7
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酷く強い雨が降ってきた。
「ぐっ………」
かつてベルフェゴールの一族の使用人だったその女は、口から血を吐き出しながら地面へ体を預けた。
(もう少し、なのに)
ひどく荒い呼吸に、大量の出血。
何より敵が強すぎる。
使用人はいつでも死んでいいと思っていた。
だが、別に死にたいと思ったこともなかった。
(ベル様……)
それが今ではただの子供の安全の保証の為に、敵わない敵へと向かおうとしている自分が、何だか不思議だ。
「見つけたか」
「いえ、気配も感じられません」
「!」
近くで聞こえた声に、思わず消していた気配を出そうとしてしまった。
危ない。
「ふん、そこまで遠くへは行ってないだろう、捜して殺しておけ」
「はっ!」
(………うっ、)
雨のせいでベタついた地面から、ゆっくりと離れていく。
音でバレてしまうかとは思ったが、雨の音に消されて気づかれなかったらしい。