REBORN!2
□自分犠牲主義者4
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もう自分の寿命が長くないことは、その女もよく分かっていた。
ベルフェゴールという王子に仕えるようになってからというものの、初めて主が可愛いと思えた。
ワイヤーを教えていても、どうしてが自分でやりたがり、それで失敗して血を流す。
「ベル様」
ふわりと毛布をかけた。
無意識か腕を掴まれて抱き枕のようにベルフェゴールの腕に収まってしまった
「……、」
どうしたものかと女は迷ったが、ベルフェゴールの手を掴む力が弱まり、その隙にすり抜ける
「ベル様」
頭を撫でると懐いた猫のように擦り寄ってきた。それがとても愛らしい。
「ベルフェゴール様」
頬にキスをして微笑んでみせる。
女は自分の笑い方が作り笑いだということを知っていた。
でも意図的にしているわけではない、無意識なのだ。
「ベルフェゴール」
笑い方を忘れてしまった。
別にそれに悲しく思ったことはなかったし、逆にどうでもよかった。