繋ぐ言葉
□夕闇に灯る白き月
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冬の空気はとても冷たく、肌を凍らせる。
少女が吐く白い息は、ふわりと現れ、回りに溶け込んでいた。
肌の色はその息と同じぐらい白く、それでいて黒く大きい瞳はその存在感を表し、実に魅力的であった。
髪の色も瞳と同じ黒で、潮風がふくたびに微かに揺れる髪の毛でさえ、まるで一枚の絵画のようだ。
大和撫子とはこんな人を指すのかと、初めて理解した気がする。
大人っぽいと言うべき顔立ちなのだが、どこかあどけなさを残し、時々微笑む君を見て胸の高まりを覚えてしまう僕がいた。
そんな少女が見つめる先は、夕陽が海へと潜るところだった。
冬の空気に体を冷やされながらも、潜ろうとする赤く燃えゆく夕陽に目を奪われる。
光を反射しキラキラと輝いていた海は闇を灯し、夕陽を反射して赤く燃えていた。
空と海は繋がり、走り出したくなる衝動を必死に抑え、僕は見入っていた。
夕陽は変な形へと変形した後、海の中へと潜っていく。
少女は立ち上がり、涙をこらえながら、
「ばいばい………。」
と、小さな声で呟いた。
「また会えるよ。」
僕もそう、小さな声で誰かに言うわけでもなく、呟いた。