五年生×兵太夫
□兵助×兵太夫(2)
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ぜぇぜぇ言いながら、降りようとする
その様子を見つつ結構、意地っ張りなんだななんて、考えている俺
「ここまでお前が手を引いてくれたから、あんまり疲れて無いんだよ。・・・何処に行くんだ?」
未だに肩で息をしながら指した指の先には
冬のこの時期に
夕日を背にする一本の満開の枝垂れ桜・・・
「ここっ・・・だけ、この桜だけ、咲いてるんです・・・三日くらい前から・・・」
ようやく呼吸が落ち着き、じっと桜を見つめながら俺に伝える兵太夫
「久々知先輩に・・・お礼がしたくてっ・・・でも、お礼って何するのか・・・よく判んなくてっ・・・だから」
今、僕が一番好きな場所に・・・と、眼を伏せ小さく言う兵太夫
抱き上げていた腕にわずかに力が入るのが自分で判った
「俺、何もしてないだろ・・・御礼って言うなら、立花先輩なんかのほうがよっぽど・・・」
一貫もひいたすら火薬の調合を教えてくれる人なんてそう居ないだろう
「仙蔵先輩にも、ちゃんとお礼言いました。『ありがとうございました』って・・・久々知先輩・・・その、ごめんなさい・・・今日寝てないでしょう?朝まで・・・結局教えてもらって」
あぁ、そう言う事か・・・
コレはお礼と言うより、謝罪かな?・・・と考え