五年生×兵太夫

□雷蔵×兵太夫
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虫の鳴く音と共に、縁側でカサリと音がする・・・

「・・・笹山?」

深夜・・・小さな瞳を真っ赤にした兵太夫が僕の部屋の前に立っていた




「おいで、笹山」

泣いていた原因を答えずに今晩泊めてくれと言う兵太夫。僕らのことを知っている三郎は、泊めてやれば?と無責任に返したけれど

それは根本的な解決にならない・・・僕は兵太夫の手を連れ出し裏の森の中へと導いた


森の中程にある、ぽっかりと大きな岩があるだけで・・・後は何も無い空間。天然の部屋だ・・・と始めてきた時に思った場所

「兵太夫、こっち」

岩の上に座り、兵太夫を膝の上に座らせて

「・・・で?何があったんだい?兵太夫」

落ち着かせるとやがて漏れ出す小さな嗚咽・・・小さな瞳から零れる涙が僕の服に落ちていく

「せ・・・っぱい」

不謹慎ながらその光景がとても神聖なものに思える・・・指で涙を拭ってやりながら顔をのぞくと

「・・・好きっ・・・なん・・・です」
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