無双BOOK

□幸村争奪戦
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そこにいたのは確かに趙雲だった。
しかし、銀の鎧に自分に少し似ている髪型をしている。

とても華やかな笑顔である。
趙雲の隣りに行こうとすると…



「お待たせしました幸村殿!」

別の方向から、またもや趙雲の声がした。

そちらに振り返ると


「趙雲ど…の?」

確かに幸村の知っている趙雲だ。しかし、鎧が違う。何時もより落ち着いている。


「幸村殿ー!」

次には少し遠くから趙雲の声がした。
少し遠くをみると髪を振り乱した少し露出度が高い鎧姿の趙雲がいた。色っぽいというより健康的だ。


「幸村殿…お待たせしました、行きましょう?」

耳元に趙雲の艶の含んだ声がし、腕を組まれた。
顔を横に向けると青い鎧をきた趙雲がいた。しかも露出度は低いのに艶やかな笑みをしていた。



「えっと…あの」


4人の趙雲に囲まれた幸村はたじろいだ。4人とも自分の知っている趙雲ではなかった。

しかし

「幸村殿から離れなさい!」

「あなたが離れなさい!」

「幸村殿、早く行きましょう?」

「なにを、幸村殿は私と一緒に行くんだ」

4人は言い争いを始めた。



「4人ともやめて下さい!」



4人が一斉に振り向く。

幸村もほっとして振り返ると


「趙雲殿…?」

「私の幸村殿から離れて下さい!」



そこにいた趙雲は、兄嫁に似た風貌をしていた。



「ははは…」



もう、笑うしかない。
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