無双BOOK
□さよなら初恋
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二人は暫く話さなかった。
静寂を破ったのは下を向いたままの三成だった。
「俺は…、最初はお前と友に成りたかったんだ。」
「私と…?」
趙雲の問いに三成はそうだと頷いた。
「最初は…、幸村に似ているから、お前とも俺は友になれるんじゃないかと思ったんだ。」
三成はまだ下を向いたまま。
「だけど、違ったんだ。幸村とお前は似ているようで似ていない。幸村の笑顔を見るのとお前の笑顔を見るのとでは違う。」
趙雲も下を向き、話す。
「私は最初は…、貴方が苦手でした。冷たい瞳に自信のある物言いが…。でも貴方が影で努力をしているから自信が来るんだと解って…。知らず知らずのうちに貴方のことばかり気になって……。」
そして、二人は初めて顔を合わせる。
二人の顔は赤いまま。
「好きだ、趙雲。」
「好きです、三成殿。」
二人同時の告白。
「初めて名前を呼んでくれましたね三成殿。」
「趙雲も…、石田では無くなっているぞ。」
「だって、石田殿は沢山居ますけど、三成殿は貴方しか居ないでしょう?」
「それもそうだな。」
二人は笑っている。