無双BOOK

□軍師と将軍の隠れ家
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出来上がった料理に荀攸は心踊らせた。

「これを…俺が?」
「そうですよ。」

となりで髪の長い美しい青年が微笑みながら頷く。

「料理成功…あなたのお陰です。」
「ふふ、どう致しまして。喜んでもらえると良いですね。」

荀攸は大切な人のために料理を青年から習い、今日は一人で一から作り成功した。

「そうですね、それでは温かい内にいただきましょう。」
「え、でもそれは。」
「元々、今日作った料理はあなたと食べようと思ってました。」
「!、ありがとうございます。」

二人は向かい合って座り、料理を食べ始めた。



荀攸は青年との出会いを思い出していた。


初めは心安らぐ一人の空間が欲しくて売りに出されている家があると聞き、足を運んだのだがそこには別の購入希望者がいた。それが青年との出会いだった。
売り手から提示された金額は予想より高額で頭を捻っていると青年が言ったのだ。
「私が半分出します。だから二人で使いませんか?」
一人の空間が欲しかった荀攸だったが中々に魅力的な提案だった為に、隠れ家に他の人をいれないことを条件に頷いた。

大切な友人や年下の叔父と過ごす時間も好きだが、自室とは違う完全に一人で過ごすことができる隠れ家というのはまた別のよさがあった。時おり、一緒に過ごすことになる青年と少しずつ話すようになり、荀攸にとって彼は大切な友人の一人になり、いつの間にか一人の空間ではなく、青年と過ごす時間を目当てに隠れ家に向かっていた。
青年は荀攸と過ごす時は必ず料理を作ってくれた。その料理は本当に美味しくて、荀攸は大切な人達にも食べて欲しくて青年から料理を習ったのだ。

「美味しいですね。」
「それはあなたが教えてくれたからです…でもやっぱり俺はあなたの作った料理の方が好きです。」
「自分より人に作ってもらった料理の方が美味しく感じることがありますね。」
「確かに。」

お互いに褒め合う二人だがお互いの名は知らない。しかし、その衣服や料理の味付けでお互い別の主を持つ人だと解っていた。

だが二人は友人でありたいと願った。

「あなたは俺に何かお願いはありますか?」
「お願い…ですか?」
「はい、料理を教えてくれた礼に。」

荀攸の言葉に青年は少し考えた。

「それでは…」
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