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□ずっといっしょ
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高校に入学して三ヵ月たった火曜日の放課後。
あたしの携帯に一通のメールが届いた。
差出人の名前は《静那》
題名は《小学校の裏山》
本文にはたった一言、
《会いたい》とだけ綴られていた――……。
あたし達は幼なじみで、小さな頃からずぅっと一緒にいた。
そんなに四六時中一緒にいて、よく飽きないなって人には言われていたけど、逆に静那が隣にいない自分の方が想像出来なかった。
だから、高校だって示し合わせて同じ所に進もうと約束した。
だけど静那はあたしよりもずっと勉強が出来るから、あたしに合わせて同じ所に進もうとするとレベルを二つ程落とさなくてはならなくなる。
だからあたしは必死になって勉強をして、なんとか静那レベルの高校を受験することにした。
静那はギリギリまでそれに反対して、落ちてしまったらもともこもないから、やはり自分があたしに合わせてレベルを落とすか、せめて一つだけでもレベルの低い高校を一緒に受験しようと言ってきた。
だけどあたしは断固としてその提案を受け入れなかった。
今思い返してみれば、あたしは意地になっていたのだ。
そして結局、あたしは受験に失敗してしまった。
今は滑り止めに受けていた私立の高校に通っていて、新しい友達も出来たし部活にも入ってそれなりに充実した日々を送っている。
ただ、静那にはたまにしか会えなくなってしまった。
学校が違うだけでこんなにも人というものは距離が開いてしまうものなのだろうか。
学校が違えば、やはり生活のリズムに差は出てくるし、会える日も限られてくる。
それでも初めのうちは毎日メールや電話のやりとりをしていた。
しかしその回数も日がたつに従って減っていき、今は皆無になっている。
静那のいない日常が、あたしの胸に小さな穴をポッカリと残しながら、いつの間にか当たり前になりつつあった。
だけど。
そのメールを読んだ途端、あたしは走りだしていた。