爆発的な恋人

□仮免から
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「だっはっはっ。魚焼くとかキャンプかよ!」
サイドキックが爆笑する。
「、、健全だな。」
常闇君とサイドキックの4人で昨日のデートについて話す。
「いや、ケイゴ君ついてくる意味があったかわからないくらい楽しかったよ。今度常闇君も太宰府行こうよ。」
「そうだな。太宰府は行ってみたいな。」
常闇君のダークシャドウが答える。
「じゃ、私これから植物カフェ出勤なので失礼します。ケイゴ君には、8時頃戻る、と伝えて下さい。」
「あぁ。ホークスは、パトロールに出てるから伝えておく。」
事務所を後にし、植物カフェで仕事をこなすと夜の7時になる。
「ひゃー、暗くなるの早いなぁ。やっぱり秋に近づいて来たなぁ。肌寒いし早く帰ろう。」
「おい。」
誰かに呼ばれた気がする。ヴィランでも実力がありそうな雰囲気を察知する。
「、、、無視、したら一般人を巻き込んでしまうから移動させて頂きます。」
そう呟き、 菜々は振り返らず歩く。

誰もいないつばめの杜広場につくと後ろを振り返る。
「ここなら、大丈夫そう。御用は何でしょうか?」
そこには、黒い服を着た背の高い男が立っていた。
「リーダーから様子見て来いって言われたから来ただけだ。特にどうこうはすることはねぇ。ブロッサム。」
「、、、弔のツレ?」
あぁ、やばいな。コスチューム持ってないや。
「初めまして、だな。荼毘、と言う。」
「初めまして。ブロッサム、です。攻撃の意図がないなら、、座ります?」
荼毘が拍子抜けする。
「ヒーローなのに、ヴィランと話すのかよ。イカれてるな。あんた。面白い。」
ブロッサムの隣に座る荼毘。
「大方、弔には殺すな、とか攻撃するな、と言われてるんでしょ?弔を敵にしたら面倒なのはわかってるから。何か飲みます?」
「、、へぇ。」
荼毘がブロッサムからコーヒーを受け取る。
「女ってのは馬鹿ばかりかと思ったが違うんだな。」
「あら。女がいるから男も生まれるんだよ。女、なめんじゃないよ。」
「、、、力でねじ伏せられるのに?」
荼毘が蒼い炎を出す。が、ブロッサムはそれを無視しながらぼーっとジュースを飲む。
「、、つかめねぇな。」
荼毘は戦闘意識0のブロッサムに呆れ、炎を消す。
「博多、どう?」
「あ?博多?、、特に。」
「わざわざ来たんだから観光でもして帰ったらいいよ。私なんかの為に来るなら。」
「、、、それもそうだな。付き合え。」
「今から!?」
「、、奢ってやるから。」
「じゃ、博多でなるべく少ない場所にしときましょうか。」

という訳で個室の掘り炬燵に座る。静かな雰囲気だ。
「荼毘は、、成人しているならお酒飲んでもいいですよ。私は未成年だから、オレンジジュースで。えーっと、、和菜コース頼みます。」
「、、俺が奢るんだよな?」
「見たところ、まともなご飯食べてなさそうだから。肉を食べなさい!嫌なら割り勘でもいいですよ。鳥釜頼みます。ケイゴ君によるなしとLINEして、、。」
「、、、焼酎で。ホークスと住んでいるのか。」
「インターン中でお世話になってます。普段は雄英の寮です。」
「トゥワイスが調べた通りだな、、。」
「大方、ヴィランが知ってることくらいしか私は知りませんよ。だから、役に立たない。あ。これ、美味しい。」
「だが、リーダーはお前を例外としている。俺はそれに興味がある。なんだ、これは。」
「鳥刺しですよ。美味しいですよー。」
「、、しかし、お前、何も聞かないんだな。俺たちのこと。うめぇな、これ。」
「聞いてどうするんですか?余計な詮索するなってその炎で焼かれて終わりでしょ。あ、梅ポン酢最高、、。」
「、、、、面白いな。お前。名前は、、春野、、。」
「 菜々です。春野 菜々。」
「ヒーローになった理由はなんだ?今まで登録していなかったよな?」
「登録料高いんですよ。学生で払えないからそれまで慈善でしていたけど、あなた達の騒動でお金が入ったからやっと登録しました。ヒーローになった理由は、仕事で車使えるし優遇さですかね。ヒーロー活動なんて私より強いヒーローに任せたらいいんですよ。私ね、植物カフェの店長になって穏やかに暮らすのが夢なんですよ。」
「、、凄い個性なのにか?」
「個性が凄い=ヒーローやヴィランに結びつけるのは好きじゃない。」
「ぷっはは。やっぱ、 、面白れぇ。リーダーに目をつけられていても呑気な夢見て。なぁ、店長なんかやめて俺と一緒に来ないか?まぁ、よく考えてくれや。また、聞くからよ。腕、どうした?」
「弔にやられてね。段々動かなくなるの。私。」
「そうか。可哀想にな。お互い個性のせいで苦労するな。」
菜々 が荼毘の腕を見る。
「、、、炎に耐えられない身体でな。個性を使えば使うほどボロくなる。」
「、、そう。痛いね。」
「あぁ。いてぇ。、、酒おかわり。」
「あんまり、飲みすぎると明日、しんどいですよ?」
「お前と飲むと楽になるんだよ。付き合え。」

2件目に連れて行かれるとは思わなかった。いや、本当帰らせてくれ。荼毘よ。
「何が欲しい?」
「欲しいものなんて無いですよ。帰らせてよ。マジで。」
「12時までには帰らせてやるからよ。空で待ってる鷹にも言っとけ。」
バレていたか。ホークスのこと。
「手を出してこないとこみたら、話がわかるヒーローみたいだな。」
「私とホークスはいつでも繋がっているから。大事な人だよ。」
「、、大事、、ねぇ。絆ほど脆いもんは、ねぇ。」
「ヴィラン連合って仲良しじゃない。あれは絆、じゃないの?」
「、、あいつらと俺は違う。俺には目的がある。」
「、、荼毘が思っている以上にみんな、あなたのこと好きだと思うよ。」
「、、、そういうもんか。」
「安心しなよ。あなたを思っている。荼毘には、、紫色のアネモネを送るよ。はい。花言葉は、あなたを信じて待つ、だよ。」
「だから、ヴィランを信じてどうするんだっ!」
「私は荼毘を信じるよ。だって、あなたの瞳、綺麗だから。」
「、、お前、本当馬鹿だな。」
「馬鹿で結構。お目当ては個性の花だったのね。花なら幾らでもあげる、って弔にも伝えて。」
「、、わかった。また、会いに来る。」
荼毘はそういい残すと黒霧の闇に消えていった。
「素直に花がほしいと言えないのがヴィランだね。」
荼毘が消えた後、ホークスが 菜々を抱きしめる。
「つ、疲れたー。」
「ある程度情報は手に入れたみたいだね。公安も充分だって。お疲れ様。よく頑張った。」

「荼毘の個性は、蒼炎。放出は得意だが調整ができない為、毎度、腕に火傷を起こす。放出後に隙が生じる可能あり。連合には、比較的最近入ったことからブローカーに手引きしてもらった様子。弔をリーダーと呼ぶなど死柄木弔に近いと思われる。髪は染めているため、元は白髪だと思われる。」
「詳細な報告書ありがとう。ブロッサム。今後の捜査に生かします。」
公安の局長との電話を切る。
「ふー、、、。」
あの瞳、どこかで見たことあるような、、。確信は持てないけど、、エンデバーやしょうと君と瞳の色が似ているような、、。 菜々がスマホを片手に上を向く。
「悩みか?」
常闇君が尋ねる。
「昨日、ヴィラン連合に接触して個性使ったから疲れちゃって。」
「今から雄英にまた帰るんだよな?大丈夫か?」
「先生たちに呼ばれたからね。大丈夫。」
菜々 は、また上を向いた。
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