爆発的な恋人

□入学
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「では、新しく発足した図書委員会と美化委員は春野さん以外誰もいないので、兼任で。」
一年C組に響き渡る先生の声。
お世辞の白い拍手が教室に響き渡る。
「春野。」
役員決めだけで終わり、下校となった教室で心操君が声をかける。
春野 菜々。先のヘドロヴィランの女子中学生だった彼女は今は雄英高校普通科だ。
その正体は、アメリカで大活躍した早すぎる学生ヒーロー、ブロッサム。当然ながらみな、知っている。今は眼鏡をかけて無理やり地味な髪型にしている。
「なんで、ヒーロー科に入らないんだ?」
「ヒーローがヒーロー科入ったら意味ないじゃん。私は、これから、花の女子高生生活を満喫するんだから。」
「は、はぁ、、、」
「じゃ、私、バイトあるから。バイバイ。心操君。」

軽やかに下駄箱を出て一気に走る 菜々。そこに、泣きっ面のかっちゃんがトボトボと歩いていた。
「、、回り道しーよー。」


春野 菜々。爆号勝己は緑谷出久と同じオルデラ幼稚園出身だ。かっちゃんとは、家がお隣だったこともあり、小さい時はよく遊んでいた。
しかし、悲劇は起きた。ヒーロー協会で働いていた 菜々の父への逆恨みからヴィランが 菜々の母を殺す事件が起きたのだ。 菜々は、ショックだったが父の仕事の都合でアメリカへ渡米したのだ。
そして、ヘドロ事件の1週間前に父を残して日本へ戻ったのだ。


「いらっしゃいませ。ご注文は、何になさいますか?」
植物カフェでテキパキと働く 菜々。
「 菜々ちゃん。ここは、大丈夫だから、配達お願い。第三オフィスビル5階にスパイシーカレー三人前。」
「了解です。」
クーラーボックスにカレーを入れて運ぶ。
「おらっ。金出せや。」
「ひぃぃ。誰か、助けてっ!」
路上でカツアゲをする学生に出会う。
 菜々は、冷めた顔でカツアゲをする学生を吊し上げるとその場から去る。
「あ、ありがとうございます!」
「、、たく、日本のプロヒーローは、何やってんのよ。」
手をひらひらした 菜々は、配達先にカレーを届ける。
「ブロッサムがカレー届けてくれた!まじ、可愛い!サインしてください!」

翌朝、 菜々は、校舎の花壇に水をあげていた。
雄英普通科は進学と言えど内心はヒーロー科を羨む目立ちたがり屋の集まりだ。美化委員や図書委員会など裏方は誰もしたくない。
「ふふふ。だからこそ、普通を目指したいわたしにはいいポジションよ。」
「手伝うよ。」
ランニングしていた心操君が声をかける。
「心操君!ありがとう。ランニング?」
「ほら、もう少ししたら雄英体育祭があるだろ?」
「あ、あのヒーロー事務所がインターンでスカウトする、、。」
「 そうだ。俺もスカウトされたいからさ。」
「おはよう。」
そこに、オールマイトが声をかけてくる。
「む、君はいつぞやの、ブロッサム!」
「あ、おはようございます。オールマイト先生。」
「君、なんでヒーロー科入らないんだい?」
「ヒーローの前に学生ですから。普通に生活したいんですよ。」
「たっはー。君、やっぱりアメリカにいた時から変わってるね!面白いよ!じゃあね!」
「あ、心操君。ありがとう。もう、大丈夫。」
 菜々がホースを片付ける。
「お、おう。」
オールマイトの挨拶に唖然となる心操君に笑う。そのまま、ランニングに戻った心操君の次にヤツが来る。

「モブがまた花の手入れかよ!」
「あら。半べそ泣き汗マン。今日もランニングご苦労様です。」
爆号勝己。 菜々の隣人兼ライバルだ。
「かっちゃん。入学おめでとう。」
「 菜々。お前こそよくモブ学科に入れたな。」
「あの日の約束は忘れてないもん。」

2人は笑いあった。
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