爆発的な恋人

□usjから体育祭
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登校中にかっちゃんが目の前を歩く。
「かっちゃん!おはよう。」
「、、、はよ。」
機嫌が悪い。これは。ミツキさんと喧嘩したか?
「昨日は、ご飯付き合ってくれてありがとうね。」
「、、おぉ。」
「どうしてそんなにテンション低い、、あ、おはよう!デク!」
「ひ、、かっちゃん。あ、 菜々ちゃん。おはよう!普通科合格したんだね!おめでとう!」
「ありがとう。デクもヒーロー科合格おめでとう。私、教室こっちだから。かっちゃんも一緒に職員室来ない?」
「、、、。」
かっちゃんとデクは幼稚園の頃から仲が悪い。それは避けないと。
「じゃ、デク。バイバイ。」
「、、人生、初めてだ。かっちゃんが僕に悪口言わない日なんて、、。」
デクは身体が震えた。

「かっちゃん。どうしたの?」
「あいつ、誰だよ。」
「デクじゃん。」
「クソナードじゃねー。昨日の赤羽根、、。」
まずい。見られていたか。
「プロヒーロー ホークス。アメリカから帰った時から公安から護衛つけられてるの。」
「、、、ほぅか。」
「あ、でも向こうも忙しいからたまに顔見に来るだけだよ。幼稚園に一時期通わない時あったでしょ?あの頃、公安にいたホークスと仲良くなってね。」
ん?なんで、かっちゃんに慌てて説明してるんだろ??菜々 は、かっちゃんと別れ、教室の中で首を傾げる。
「菜々ちゃん!昨日、女性を助けたんだって!凄いね!」
「そんな、凄くないよ。」
情報、早いな。おい。普通科。クラスの女子が集まる。どの時代もヒーローにみな、憧れ、もてはやす。それは、普通科でも同じだ。

「春野。次の授業の手伝い頼んでもいいか?」
「はい。」
担任の先生に呼ばれ、プリントの印刷を手伝う。
「すまないな。先使ってる。」
先に印刷機を使っていたヒーロー科の、、えーっと、、
「相澤だ。」
「普通科、春野菜々です。」
「春野菜々。ヒーロー科合格していたのに蹴ったのなんでだ?」
印刷機待ちで声をかけられる。
「普通に生きたいから、です。」
「センスがいい。お前ならいつでも歓迎だ。考えてくれ。」

だから、普通に生きたいのに。
プリントを抱えて歩くと誰かの先生の背中にぶつかる。
「わ、すみません。」
「む。こちらこそすまない。」
あ、えーっと、、
「ヒーロー科B組ブラドキングだ。ブロッサム。」
握手を求められる。
「は、はぁ、、。」
「アメリカでの活躍はオールマイトから聞いていた。君で良ければB組も歓迎する。正直、ファンだ!」
「あ、ありがとうございます、、。」
あんたもかよ!!

「そりゃ、ブロッサムは日本でもアメリカでも人気だよ!」
昼休み、何故か食堂で会ったデク、ヒーロー科の飯田君、お茶子ちゃんとご飯を食べる。
「あたしも!ブロッサム。同年代だから憧れるもん!」
「うむ。どんな小さな犯罪も見逃さない万屋ブロッサムはうちの兄も感心していたからな。」
「実は、アメリカでは、ヒーロー登録しているけど日本では、登録してないんだよね、、。」
「え、そうなの!」
「だってヒーロー更新って年間10万以上かかるんだもん。学業しながら10万は払えないよ。アメリカは年間一万だったからいけたけど。」
オムライスを頬張る 菜々。
「つまりは、ヒーロー活動が出来てなかったら赤字経営になるんだよ。社会に出てからが勝負。いかに学生生活でツテや個性の長所を作っておくか、だよ。」
「きゅ、急にシビアだねぇ。」
「それに、私、ヒーローより植物カフェの店長になるのが夢だから。ご馳走様!この後、根津校長に呼ばれているから先に行くね。」
「うん。」

お茶子ちゃんと飯田君が唖然とする。
「流石、ブロッサムは、現実的だな。勉強になる。」
飯田君が頷く。
「ねぇ、デク君!私、ブロッサムともっとお話ししたい!後で連絡先教えて!」
お茶子は、現実的な 菜々に惹かれた。
「え。うん、、はい。」
デクは、辿々しく連絡先を伝えた。

「失礼します。根津校長。」
根津校長は、雄英高校の校長先生だ。ネズミだけど。
「あ、春野さん。お話ししていた食堂のバイトの件だけどいいよ!ランチラッシュがちょうど入学者が増えて大変だったみたいだから。」
「ありがとうございます。この後食堂行くのでランチラッシュさんと具体的に話ししたいです。」
「うん。わかった。僕から話ししておくよ。」

「バイト増やすのか??」
午後の授業の休憩中、心操君が心配する。
「昼休み見ていたら学生でごった返していたからさ。手伝えるなら手伝いたいもん。それに、植物カフェの資金代、お母さんの遺産使わずにしたいから!」
「 菜々は、何というか、、本当にお人好しなヒーローなんだな。俺にも出来ることあれば言ってくれ。」
心操君は、普通クラスでは1匹狼みたいだ。
誰とも群れない。菜々 は、それが心地よかった。
「俺の個性が洗脳、なんだ。だから、恐れてみんなあまり話さない。」
「洗脳!かっこいいじゃん。」
「そうか?」
「だって洗脳が出来たら、毎日チョコ食べても太らないじゃん。」
「ぷっ、確かにな。 菜々の発想は面白いな。便所行って来る。」
「菜々ちゃん。」
女子の友達が声をかけてくる。
「あの、、勉強教えて欲しくて。」
「いいよ。どこ?」
「アメリカの世界史、、。」
「いいよー。ここはねぇ、、。」
突如、校舎中に鳴り響くサイレン音。
「なんだ?なんだ?」
「先生方は至急職員室に集合してください。」
プレゼントマイクのアナウンスで学校中がパニックになる。
「 菜々。大変だ。」
心操君が走ってくる。
「ヒーロー科のA組が、、。ヴィランに襲撃されたらしい。場所は、USJだ。」
 菜々の表情が一気に変わる。
「ありがとう。心操君。」
菜々 が着替えの袋を片手に教室の窓から出て行く。
「かっけぇ!ブロッサム。出動だ!」
クラスの男子がはしゃぐ。

オールマイト含め教師の群が見える。行き先は、、やはりusjだ。
既に教師がつき、1-Aのみんなと後処理をしていた。黙って見届けると菜々 は、町外れに向かう。
「黒霧。あれは、キツいって。」 
「いや、ラッキーです。」
「ブロッサムじゃないか!」
死柄木がブロッサムを見て声を上げる。
「かっちゃん達を襲ったのはあんたらだったわけ。」
「弔。下がりなさい。ブロッサム。久しぶりですね。うちに、きませんか?昔のよしみです。」
「菜々が欲しい。菜々 と遊びたい!」
死柄木の目の色が変わる。
 菜々は、弔に近づく。
「!ブロッサム。弔から離れて下さい。」
 菜々が弔の手を握り、離す。弔の掌にクロユリの花が咲く。
「今度、かっちゃんに、、1-Aを襲ったら許さない。」
「 菜々が手を握ってくれた、、。」
黒霧が急いで弔からクロユリの花を落とす。しかし、弔は、落とした花を大事そうに抱える。
「 弔!離しなさい。それに触ると寿命を吸われますよ!」
「 菜々がくれたはじめてのプレゼントなんだ。持って帰りたい。菜々 。またね。」
2人が消えたのを見て、ブロッサムは力を抜く。
弔が握った手の表面は青紫色になっていた。

雄英に帰ると心操君が心配そうに下駄箱で待っていた。
「 菜々。その手、、。」
「ごめん。ヴィランに逃げられちゃったや。」
「り、リカバリーガールのとこ、行くか?」
「大丈夫。それより、勝手に授業ボイコットしたから担任怒ってなかった?」
「ヴィランが出た、って言ったら怒らなかったよ。もう、下校だけど途中まで送る。その、鞄持つよ。」
「ありがとう。心操君。心配かけてごめんね。」



家に帰るとかっちゃんが凄い顔で立っていた。
「手。」
 菜々がぱっと左手を隠すとかっちゃんが左手を取る。
「あいつらにやられたんか?、、夜間救急行くぞ。」
「そ。そんなに酷くないから。」
黙ったかっちゃんに左手を掴まれたまま病院に連れて行かれた。



「弔。それは、クロユリかい?」
「先生。 菜々がくれました! 菜々、雄英に通っていて握手もしてくれました!」
先生と言われる男がクロユリを見る。
「弔? 菜々に、握手したのですか?」
「はい!向こうからギュッてしてくれました。嬉しかったです。僕のこと覚えていてくれてました!」
「すみません。ブロッサムの個性を知っていながら、、、。クロユリは、絶望、という意味なんですよね、、。」
黒霧が先生にあやまる。
「いいですよ。黒霧。弔、1つ素敵な話をしましょう。クロユリは、北海道では神秘の花と呼ばれ、想い人に送る恋の花らしいですよ。たまには、ブロッサムに会いに行ってもいいでしょう。それが弔の個性の為になりそうですしね。」
「え!そうなの!」
弔は、クロユリに触る。クロユリは、徐々に枯れていった。
「 菜々。また、会いに行くよ。」

 菜々は、静かに身震いをした。
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