陽の間


□懐かしの駄菓子屋さん
1ページ/1ページ

十字路の交差点
そこで私は立ち止まってます

迷ってしまったのです
どの道が穏やかなのか


背後を確認してみます
過ちが襲い狂う

右を確認してみます
逃げが迫り狂う

左を確認してみます
甘さが迫り狂う

そして前を向いてみます
まだ誰も歩んだことのない
広大な道のり


結局は どの道を選んだとしても
困難なのだと苦い笑みを浮かべ


仕方がないので
このまま前進することにしました
私の全身で進んでゆく


すると
しばらく歩いていると
お店がちらほらと現れたのです

私は疲れ果ててました
目に入った一件のお店に
立ち寄ることにしました


踏み入った瞬間
懐かしい光景が蘇ってきました


そのお店は正直言って
綺麗とは程遠い外装をしていましたが…

なぜだか 私には
馴染み深く思えたのです


駄菓子屋さんみたいでした
知らない駄菓子屋さん

むかし 手にとって遊んだ品々

格好つけて手首に貼ったペーパー・タトゥー
それが素敵な大人に思えて憧れてました


10円があれば何かが買えて
行きつけの駄菓子屋さんのおばちゃんに
よく聞いたっけなぁ


「ねぇ、おばちゃん!
これはいくら?」

「それは50円だよ」と


小学生の私には高価に思えて
お小遣いと相談して
迷い迷って高めのお菓子を買って
はしゃいでました


私は思い出します
どうして忘れてしまっていたのでしょう


純真な子供の無邪気な笑顔

楽しかったはずの心からの喜び

あの頃の私は 今はもう いずこ

大人になったら
なぜかどんど忘れていく


それでも私は
この懐かしのお店のことだけは
忘れないようにしようと心に決め
前に進む決意をしました

そしたらまたお店が私に知らせてくれた
懐かしい光景が また現れたのです

きっとこれは
私を鼓舞(こぶ)するための後押しなのでしょう

目に付く度に立ち寄っても
甘さに浸ってしまうだろうから
疲れた時だけに
涼むように頼らせてもらおうか


そして私はまた
広大な道を歩んでゆくのでした



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ