陰の間


□井戸
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何気なく覗き込んだ井戸に
居た… 君が居た
「落ちた」のではなく
「堕とされた」
意味は理解している
ここにいるのも当然

井戸と 地上との間には
途方もない 隔たりがある
闇が口を開いて
2人の距離は 吞み込まれた
2人の関係も もう 吞み込まれてる
2人の時間がなんて もうどこにもない

見上げた君の瞳と 私の瞳とが交差
光を一切受け付けなくなった
黒々とした うつろな瞳
確かな増悪が込められていた
確実に人を刺す()
こんな状態で 手を伸ばしでもしてみろ
間違いなく 魂を削り取られる

この手では 君の元まで届くわけない…
言うまでもなく
君の心まで届く自信も…
届かす自信も…
ましてや権利なんて
到底 あるわけではないだろう



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