読の間〜小説

□三章:一騎当千の殺戮兵器
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カウンターの弾は、敵の腕や胴体などに浅くめり込んだ。

「ぐあ"あ"あ"ぁーーっっ!!!」

全身激しい痛みが襲い、身悶(みもだ)えながらも必死で抵抗を見せる。
苦痛に歪む顔には悔しさの色が浮かんでいた。
敵の顔色などお構いなく容赦なくカロルの攻撃は続く。
マンゴーシュを仕舞うと今度はライフルを取り出し、マグナムと二丁拳銃で攻撃を試みる。

敵との距離を掴む為、バックステップを踏み、マグナムとライフルで交互に射撃する。
命中する必要はない、これは敵の行動を伺う為だ。

それを敵がドッチロールで交わし切る。
見計らったように一気に距離を詰め、今度はマグナムをホルダーに仕舞うと再度マンゴーシュを取り出す。
武器の入れ替えをする間もライフルで牽制(けんせい)
敵も命がけでカロルの攻撃を右へ、左へ、後ろへと柔軟な動きで避けてゆくが…。
背後にまで気が回らなかったのか、ついに大木(たいぼく)で遮られてしまい逃げ場を失ってしまった。
恐らくこれは、カロルの思惑なのだろう。

追い詰められた敵が何かを言おうとしたのだが…。
その声は一歩遅く、(やいば)によって()がれた。

ザシュ――……。

肉の切れる不快な音がした。
カロルがマンゴーシュで敵の首を掻き斬ったのだ。

「おぉ! カロル! 張り切ってるな、その調子だ。」

さっきまで空気と同化していたロイドが声を荒げ、カロルの志気(しき)を更に高める。

相手がいくら敵でもこれは不謹慎過ぎる。
戦いにも「敬意」と言うものがあることを、覚えておいてほしい。

その応援に応えるように、カロルも今以上に俊敏した動きを見せる。

仲間を失ったのが悔しかったのか、左右に居た敵2人が追撃を仕掛けてくる。
だが、そんなものはカロルには通用しなかった。
装備していた銃器を放り投げマンゴーシュ1本に闘志を懸ける。
余興は終わり。ここからは瞬殺で終わらせる…。と言う、勝利宣言を示す。
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