華の間


□Its' a sweets world
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" さあ 甘いひと時 始めようぞ "

皇帝陛下の言葉を合図に
アップルパイが軽快に
ラッパを鳴らす


カップに浮かべた花びらローズ
ルビーが くるりん ぷかぷか
あらら? お姫様が一人!?
大変だわ 王子様はどこかしら?

心配しないでお任せあ〜れ
「美しき 生クリーム 舞踏の神よ。
さあ 魔法をかけるわよ!」

可愛いお菓子の妖精さんが
なにやら不思議な呪文を唱えます
そしてカップにロッドをかざすと
見事に サファイアの花弁が浮かび上がり
王子様のご登場


イッツ・ア スイーツ ワールド
幕開けなり


観客はキューブシュガー達
奏でる演奏者は 指揮者
ストローベリー ケーキ

コーラス・ソプラノ
ミルフィー ミルフィーユ

コーラス・アルト
エクレール エクレア

そして リードボーカルは
我らが王妃 タート タルト


それでは皆さま
夢のひと時を ごゆるりと…
そこ行くあなたも今日くらいは
ハメを外して 一度くらい夢を
見てはいかがかと?

おや? 始まるみたいですよ!
もちろん わたくしと
一緒に踊ってくださいますよね?
お手をどうぞ マドモアゼル


ですが 即席の彼女では
彼に恥をかかせてしまう
だって こんな みすぼらしい
姿なんですもん
どうしたら良いのやら…


再び わたくしの出番のようね?
お任せあ〜れ
「ストロベリー ケーキ。
力を貸してあげて。
さあ 魔法をかけるわよ!」

彼女はみるみるうちにドレスアップ
ストロベリーケーキ伯爵のお力添え

頭にストロベリーのティアラ

ドレスはバウムクーヘンのように
黄、白、桃が何層にも重なった
グラデーションで

ドレスの裾には
ホイップのレースで愛らしく見せ

さらにウエストをひき立たせる
アーモンドのブラウンリボンが巻かれ

足下には ティアラとおそろいの
美しい 黄色みがかった
ローズピンクのガラスの靴

あっという間に 淑女に変身です


「まあ ステキ!!
あなたのおかげよ、ありがとう!」
感謝を込めて
ストロベリーケーキ伯爵に
軽く頬にキスをする

「恐れ入ります。
大変お美しい、お似合いですよ。
それでは (のち)ほど…」


大仰(おおぎょう)な挨拶を
交わせば 旋律が流れ
手を取り合うとアンドゥトロワの
ステップを踏む

もうこのホールは夢の(とりこ)
誰もが2人に注目です


彼が大きく右に手を広げると
合わせて 彼女も
くるりくるりと 廻りだす

引き寄せれば彼の手に抱かれ
重なる鼓動でフォーリンラブ

甘い吐息で見つめ合うと
その場で華麗に彼女が舞う


手を解くと 互いを魅了する
テンプテーションに変ります


そして 彼女の脇を滑り込んで
彼が妖艶に挑発

それに合わせて
2人を取り囲むようにして
ひとり… またひとりと
調和が美しい円舞が
展開されていきます


これはまだ ほんの序曲に過ぎん
メインスイーツは そなた自身
今宵(こよい)限りかもしれぬ その(せい)
心行くまで 存分に 謳歌するがよい



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