しあわせ色

□春島・ノーザリー島3
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喉が渇いていることに気がついた
どおりで言葉が喉元に詰まるはずだ
小さく空いた穴は埋まることを知らない
心に穴なんてものはない
喉元の少し下
そこに小さく穴はあった
言葉ができる前にその穴からボロボロとこぼれ落ちるわたしが紡ぐはずだった言葉
きっとそれに意味などないのだろう
貴方に伝えるための言葉は
簡単に、簡潔に、心を込めて、
心なんてないくせに
何処かで誰かが言う
ない筈の心臓がドクリと、ひとつ
音を立てた気がした








心なんてないくせに
心臓なんてないくせに








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