しあわせ色
□改めて認識
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水平線からゆっくりと太陽が昇ってくる
空がじんわりと明るくなっていく
冬島の気候に近いこの海域は冷えていて空気が澄んでとても綺麗だ
甲板にふわりふわりと降りてくる雪をぼんやりと見ながら、
あぁ、あの人と始めてあった日もこんな寒い日だったなぁ、、
あの人の輪郭を、
私と同じようなあの白い髪を、
笑うとできる目尻のシワを、
私の名前を呼ぶあの声を、
思い出しながら、思い出しながら、、
いい加減諦めよう、
ソラはぼんやりとそんなことを考えていた
その目は何処か遠くを見つめていて
もう忘れるべきなのであろう記憶を勿体無いなんて思ってしまう
ハハッと乾いた笑いを1人して、
きっとまだ本でも読んでいる私の新しいマスターや最近仲の良くなったクルー達におはようの挨拶でもしようと
コツコツと靴を音を鳴らしながら船の中へと入っていった
私の新しいマスター、
トラファルガー・ローくんはかなりの不健康である
目つきの悪いその目の下にはいつも濃い隈があり、寝てくれとお願いしてもあぁ、とから返事しかしてくれない
昼夜逆転のその生活にクルー達は心配をしているようだ
そのローに唯一、寝ろと言うことのできるソラはクルー達、特にペンギンからとても重宝されており、まぁつまりローを起こす役を任せられたのだ
他のクルーが言うと最悪バラされるらしい
今回のマスターは実に血の気が多いようだ
つい先日までソラのことを怪しいと常に目を光らせていたペンギンは何故か気を許し、
ソラが自由に船長室に入るのを目視しておきながら何も言わずスルーである
ソラとしては常に監視の様な目を向けられていて居心地が悪かったのが無くなり、かなり気が楽になった
それにやはり素直に嬉しいのである
契約をしているソラよりもマスターのことをよく知っている古株のクルー、ペンギン。
その人から理由は分からないが認められたということはきっと誇っていいことだ
この前なんて仕事が終わらないと嘆いているペンギンがいて、資料の整理など簡単な手伝いをしたら泣いて喜ばれた
また今度様子を見て手伝ってあげよう
今までのマスターの仕事に事務的なものもあった為、それが役にたったようだ
最近ジャーファルくんとお話しをしていないなぁ
あの人はホリックワーカーだから時々様子を見て休ませないと、
それにエドくんに新しいマスターができたと言ってなかった
海賊船に乗っているなんて知られたら怒られるだろうから何とか誤魔化せないかなぁ、
そういえばペンギンくんが頭を痛そうにしていたからチセから頭痛薬の作り方を教えて貰おう
でもチセの作る頭痛薬は私が作るのよりよく効くから貰えるなら貰った方がいいかな、
今までのマスターのことを思い出すと思わず頬が緩み、歩みが軽くなってしまう
スキップなんてしてしまいそうだ
私はやっぱりマスターのことが大好きだ
そしてこの世界のマスターのことも言わずもがな大好きである
身長の高い彼はいつも見上げなければいけない、もう少し低ければよく顔が見えて私としてはとても嬉しいのに、、
細身に見えるのに海賊なんてしているためか意外と筋肉がついている
それなのに好き嫌いが激しくて、パンが嫌いと最近知ったばかり
冷徹、なんて世間から言われている彼は意外とクルーに甘く、それに可愛いものが好き
甘いものも好んで食べるようで私が作るお菓子をリスの様に頬を膨らませて食べる姿はとても可愛らしい
それなのに顔は所謂美丈夫で女にモテるとシャチくんが言っていた
今までの男性のマスターは女の子にモテるとは無縁だったのでかなり新鮮であり、ちょっとわくわくする
あぁ、マスターのことを思えばキリがない
「……トラファルガー・ローくん」
ボソリ、と呟くその大好きな名前
彼の事を思い出すと愛しさが溢れてしまう
大切に、大切にしなければ
今度こそ守ってやる
もう2度と奪われてなるものか
マスターは私にとって
生きる意味、生きる理由
前回のマスターの件のせいでローくんに対してちょっと思いがこもりすぎているのかな
重い、なんて言われてしまったらどうしよう
ショックで2.3日寝込んでしまうかもしれない
自重せねば、と苦笑いを浮かべながら
コンコンコンと
船長室の扉を3回を叩く
中の返事を聞いて、
ガチャリと部屋の扉を開ける
「おはよう、ローくん」
ひょこりと顔を覗かせて
にこりと笑顔も忘れずに
大好きなマスターの元へ
それだけで私はとても幸せだ
。
気づいた方もいると思いますが
・ジャーファルくん
マギに出てくる男性キャラクター
・エドくん
鋼の錬金術師に出てくる男性キャラクター
・チセ
魔法使いの嫁に出てくる女性キャラクター
みんなソラちゃんの前のマスターです。