愛のはなし 拓斗×咲哉

□優しい獣
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「っぅ、っん」
「痛くないか?」
「っん、へい、き…気持ち、いい…っ」

たっぷりの潤滑剤を纏った長い指が後孔の入り口に添えられゆっくりと中に侵入し、動かすわけでもなくじっと留まる。
異物感に自然と体が固くなるが、次第に力が抜け拓斗の指の熱がじんわりと伝わって、内部がしゃぶりつくようないやらしい動きに変わるのを見計らい内壁を擽られ、奥と入り口の往復を繰り返す。
「っんっんぅ」
拓斗のベッドの縁に上半身を預け膝をカーペットの上に落とし、尻を突きだしねだるような格好に恥ずかしさはあったが体が楽だった。
「あっ…そこ…」
「ここ?」
指の腹で優しく前立腺の辺りを撫でられ声が漏れるのをシーツで塞ぐが腰の揺れは余計に大きくなる。
「声が、っあ」
「我慢できない?」
「拓斗…塞いで、口…」
大きな手が口許におかれ塞がれ、まるで犯されてる感覚に体温が上がる。
「やばいって…エロすぎ」
「っん、っぅ、っん」
抜き差しされる速度に合わせて鼻から声が抜ける自分の声に、グッチュグッチュと後ろから聞こえる水音にも耳が犯される。

拓斗の家に行くのはこれで何回目なのか、でも行く度に行為に及んでいる訳でもなく、だからと言って他の場所でするわけでもないので、拓斗との行為はまど僅か片方の掌で数えるほど。
潤滑剤をケチることもなくたっぷり使って丁寧に解された後孔は、拓斗のものを欲して堪らず腰を無意識に揺らしてねだる様にもがっついたりしない。
最初は焦らしプレイかと思ったが、そうではなく本当に俺の体を思いやって丁寧に解してくれているのが分かると、更に感度があがり内壁がうねるように欲しがり声を抑えるのに毎回大変だった。

「っふぁ…」
ゆっくりと指を抜き差しされ、その度に前立腺に軽く触れ、違う指は会陰を一緒に擦られどんどん蕩けていく。
またトロリとした潤滑剤が足され指が増やされ、また入り口付近に留まり内壁がうねり出すまで会陰を撫でながら待つ。
「トロトロ」
チュッと尻朶にキスをされるとキユッと指を締め付けてしまう。
2本の指はゆっくりと奥へ進み前立腺の更に奥を指の腹で擦られる。
「っん、っ、っぅ」
体が跳ね快感に指を喰い締め腰を更に尽き出す。
何度か指を出し入れされると、射精したくて堪らなくなる。
指をゆっくりと抜き取られるだけでも達しそうになるのを何とか耐える。
「入れるよ」
「拓斗…」
十分に解された孔に拓斗の亀頭が添えられ、意地悪くクニクニと入り口を弄ばれ早くとねだる。
覆い被さるように抱かれズズとゆっくりと腰を進め太く固い拓斗のものが中に侵入してくるのを息を止め待つと宥めるように下腹からペニスを握られる。
「咲哉、ゆっくり息吸って」
「ッハァ…ぁ、それ、ぁ」
呼吸に意識を持っていくうちに拓斗のペニスが奥まで到達していく。
ヌラヌラとカウパーで濡れたペニスを臆することなく絞るように上下に扱われると、おかしくなるほど蕩けて自ら腰を振りだしてしまう。
「あっ、拓斗、気持ちいい、っはぁ、あっ」
ゆらゆらと揺れる腰にゆっくりと抜き差しされグッチュグッチュと音が鳴った。
前立腺やその奥の壁にノックするように突かれグリグリと擦られ達しそうになる。

「ッア…拓斗、も、いきそ…っん…お願い、前で」

上半身を捻り涙で潤んだ目でそうねだると獰猛な目をした拓斗に肩を軽く噛まれた。
「ァン…それ、や…」
挿入したままゆっくりと足を持ち上げられ器用に体をベッドの上でひっくり返される。

「拓斗の顔見て、達きたい」
額にかかった髪の毛を優しく払いその手で頬に触れキスをする。
舌を吸われ口内を犯され無意識に拓斗を締め付ける。
口づけをしたまま拓斗の指が乳首を軽く擦ると、ビクビクと体が跳ねる。
「っぅ…っんぅ、っんぅっ」
嬌声を唇で塞がれ苦しげな声が漏れる。
時々アナルへの抜き差しが加えられ、全身が性感帯と化し陸に打ち上げられた魚のように体が跳ねた。

「咲哉…そろそろ…」
「…ん」
覆い被さっていた拓斗の体が離れ両方の乳首を掌で擦るようにそっと両方の乳首を擦られ、指先で弾かれ潰され感度の上がった体はいつでも射精してしまいそうで口を手の甲で塞いだ。
ゆっくりと抜き差しの速度が早まるのにつれ拓斗の手が腰骨に触れる。
「っあっ」
「咲哉はここ、弱いよな」
親指の腹でくるりと腰骨を撫でられるときゅうっと内壁が締まった。
そのまま押さえるように掴まれたまま、ユッサユッサと揺すられ角度をつけて刺激されるともう耐えられず、腹の上に白濁を解き放つ。
「っん、っん、っん」
押さえた手の甲から漏れる嬌声に拓斗の荒い息遣いが重なる。
「俺も、いくっ」
膝を押し広げられ更に接合が深く奥まで突いて一気に抜いて俺の腹の上に解き放った。
2人の精子が薄い腹の上に混ざり合うのを見て震えるため息をつく。

「咲哉、大丈夫か?」
気遣ってくれる拓斗に手を伸ばし頭を抱き寄せキスをした。
「拓斗…好き…」
「…煽るのやめてくれ」
またしたくなる、と言うので壊れるまで抱いてもいいのにと思いながらもう一度キスをした。


抱く前や抱いてる間も、欲に満ちた野獣のような目をするのに、決して俺を傷つけたり痛い思いをさせない優しい獣。
大切な俺の獣。




end
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