dream

□モーリス3
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(ピエールさんのところ…ドッグフード置いてない…)

ペットコーナー改め家畜コーナーに並べられた大型動物たちの餌をミカウは茫然と眺めていた。
ダイヤの餌を切らしていることをすっかり忘れたまま過ごしてしまい、今日買わねば明日の分も無いというのに。
事態は一刻を争った。
「やあミカウさん。探し物かい?」
『あ……あの、ドッグフードって……』
店主のピエールに声を掛けられ僅かな奇跡を信じてみるが、彼の横に振られた浮かない顔を見て全てが打ち砕かれたような気分だ。
「この町で犬飼ってるのミカウさんだけだからねぇ…つい最近仕入れを頼んだばかりで、まだ届いてないんだ」
『…そう、ですか…』
「こればっかりは悔しいけど、あの蝶ネクタイ眼鏡のところを頼ってとしか言えないな……あれ?でもずっとあそこでドッグフード買ってなかったかい?」
『…そ、…うなんですが……色々あって…』
「なんだい?…もしかしてあの眼鏡に何かされた?めちゃくちゃに揉みしだかれちゃったとか?」
『…!』
あながち間違いでは無い故に、ミカウは目を逸らして胸の谷間を隠す素振り見せるしか出来なかった。
そのまま横目でピエールを見れば、両手を彼女の胸に近付け指をバラバラに動かして迫ってきていたので、まるでモーリスのようなその姿に血の気が引いて後ずさる。
『あ、の、帰ります…』
「気を付けるんだよ〜あの変態眼鏡には!」
『(…あなたも大概…)』
人間嫌いが加速しそうな気持ちを押さえ付けて足早に商店を後にした。













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(あれ…確かここに置いてあったはずなんだけど…)

jojaマート店内
いつも足を運んでいたペットコーナーを探してみるも、いつものドッグフードが置かれていないことに気付く
シェーンがいればバックヤードの確認をしてもらえるのだが、今日の彼はカウンセリングのために仕事を休んでズズシティへ赴いているので此処にはいない
どうしたものかと暫く考え込んでいるミカウの肩が軽く叩かれた
「ミカウちゃん♡会いに来てくれたのかなぁ?」
『!』
振り返ると至近距離にモーリスの顔があり、彼女は全身の毛が逆立つ感覚を覚えた
肩に置かれた手がするりと腰まで降りてきてはしなやかなカーブを抱く
『ぁ…いえ…そ、の……ドッグフードを…』
「ドッグフード?あぁ〜残念だなぁ!暫く誰も買っていかないから今後店に置くことをやめたばかりなんだよ」
『えっ…!ざ、在庫もないんですか…?今日欲しいんです…!』
「残念だけど在庫もなくてなぁ、今すぐ注文すれば午後には届けてもらえるけど、ねぇ」
『…!』
直前までくびれ部分にあった手が更に下へと落ちて、張りのある尻を撫でていた。
嫌な予感を察したミカウが彼を見上げると、あのいやらしく下品な笑みを浮かべているのが見えてしまった。これはつまり、取引という名の脅迫だ
『……フード、ないと困るんです…』
「どうしようかなぁ〜」
可愛いペットのために意を決したミカウの手が、彼の股間部分へ触れた
まるで何かを期待してたかのように軽く硬化しつつあったそこに嫌悪感を抱く。
『…お願い…』
「!…しょうがないなァ」
ミカウの方から触ってきたことに興奮したモーリスは鼻息荒めに彼女の手首を掴み、バックヤードへと引っ張っていった。










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