dream

□モーリス
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『…最近、夜になると誰かに見られてる気がするの…』

白く透き通った肌にどす黒い隈を浮かべたミカウの言葉に、ハーヴィー、テト、シェーンの3人が心配の眼差しを向けた。
「なんだよそれ…なんか心当たりはないのか?」
シェーンの言葉に首を横に振る彼女は酷く憔悴してるようで、力無く深い溜息を漏らす。
「もしかして…ここ数日疲れてるって言ってたのはその事が原因だったの?ミカちゃん…話してくれたら私も色々考えたのに…」
テトがミカウの手を握り悲しそうな目で見つめるとその視線に気付いた彼女も見つめ返してきたが、同じように物悲しく瞳が揺れていた
ワインを一口運んだハーヴィーも心配そうに彼女の顔を伺う
「気のせい、で済めばいいんですけどね…。そこまでストレスを感じているということはきっと現実に何かが起こってるんでしょう…。シェーン、暫く彼女の家に居てあげたらどうかな?」
ハーヴィーからの提案にテトが"それだ!"とテーブルを叩く
「そうだな…。今日帰ったらマーニーに相談してみる。ミカの事ならノーとは言わないだろ…」
すっかり身体を縮こませて何かに怯えるミカウの肩を抱き寄せる。
その場にいた全員が、薄気味悪く、妙な胸騒ぎを感じずにはいられなかった。








───────
「じゃあ、戸締りはしっかりしろよ。…明日から暫く一緒にいるから、もう心配しなくて大丈夫だ。…な?」
『……うん』
家まで送り届けてくれたシェーンと繋いだ手を離すのを躊躇うようにゆっくりと繋がりを解いていく

それだけ1秒でも長く彼をここに留めさせたいのだろう。
しかし時刻は既に0時を過ぎていて、仕事のある彼をいつまでも拘束するわけにはいかない
別れのキスを受けたあと、離れていく背中を見届けて扉を閉める。
重たい金属音を立てて鍵を閉めるが、ミカウの中から不安が取り除かれることはなかった。











深夜1時半──
寝るための準備を整えたミカウがシャツとスカートを脱ぎ捨てベッドへともぐり込んだ。
明日になればシェーンが側にいてくれるという一筋の光だけを頼りに、早く朝を迎えようと目を瞑った。
暫く十分な睡眠を確保できていなかったミカウはそのままあっという間に眠りへと堕ちていく。
窓がガタガタと不自然に揺れる音にも気付かず…。









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