dream

□シェーン10
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「魔術師の薬ねえ…」
「一体これにどんな作用が…?いやぁ…まだまだ科学では解明できないことが沢山ありますね」

シェーンとハーヴィーは同じ物を前にして感心したように話していた。
シンダーサップの森、その西に聳える塔の住人が作って渡した怪しげな液体…それを飲んでしまったテトとミカウの頭にはそれぞれ形の違う獣の耳が二つ
それに合わせるようにして臀部からは尻尾まで生えていた。
テトは猫、ミカウは犬…ないしは狼といったところだろうか。

「せんせー見て見て〜これちゃんと動かせるんだよ〜」
「と、いうことは神経が繋がっているんですね」

細く長い尻尾をゆらゆらと動かす。
ハーヴィーがそれに触れると、生き物としての温かさを手に感じたようだ
驚きを隠せないといった表情でまじまじと観察する。

「ミカは?動かせるのか?」
『たぶん…』

そう言いながら彼女の臀部に生えた大きくてふわふわの尻尾は風を切りながら左右に振られていた
凍て刺す表情からは考えられないが、どうやら彼女はシェーンと目が合ったことに喜んでいるらしい。
(なんだこれ!可愛いな!)
思わず口元を押さえてその緩みを隠すが、ふと隣を見れば同じような仕草をとるハーヴィーがいた
彼もまた目の前のテトの愛らしすぎる姿に悶絶しているようだった。

「ま、まぁ薬だからいずれ効果は切れるだろうしな。今日は様子見でいいんじゃねえのか?」

ミカウの頭に手を乗せると、大きな立ち耳が平行に伏せる
その瞳はどこか不安そうにシェーンを見上げていた。














「来いよミカ、折角なんだから詳しく見せてくれよ」
『…嫌。絶対変なことするでしょ』
「尻尾振ってるけどな」
『………』

ハーヴィーたちと別れた後、ミカウの部屋へと帰ってきた二人。
シェーンはベッドに腰掛け、彼女に生えた大きな尻尾を指差して笑う
それがあるお陰でミカウの感情が丸分かりなのだ
恨めしそうにシェーンを鋭く見つめながらも尻尾は絶えず風を切っている。
彼はいつでも逃げられるように距離を取り始めたミカウの腕を捕まえ隣に引き寄せた

「なぁ…尻尾の付け根がどうなってるか見せてくれよ」

ずい、と顔を近付けられると途端に丸まっていくそれを撫でる
ぴくんと耳が動いた

『………へんたい』
「ミカの全てが見られるんなら変態で結構だな」











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