dream

□シェーン7
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『…運を上げる薬?』
「そうだ。これを飲めば立ち所に運が上昇し、お前が探す金剛石も容易く見付かろうな」
『…ダイヤモンドが…』

おどろおどろしい紫色の煙をあげながら大鍋で煮込まれる液体
ほんの少量をカップに注がれ渡されると、発酵したような悪臭が鼻の粘膜を劈くように強く刺激した。
"どうするかはお前次第"と告げた魔術師を流し見て、ミカウはそれを一気に喉へ流し込んだ。
砂を口に含んだような粒子感、鼻から抜ける刈りたての草に似た臭い
込み上げる吐き気に口を押さえ込むと、それまで手の中にいたカップが地面に落下し弾けた。
吐き気と同じだけ沸沸と湧き上がる熱こそが"運の上昇"を告げる合図だとでも言うのか
ぐるぐる回る世界で必死にバランスを取りながらミカウは鉱山を目指し塔を後にした。





「…ん?……ミカウ?」

マーニー牧場の牛に餌を与えていたシェーンが、柵の遠く向こうでフラフラと歩く彼女の存在に気付き動きを止めた
時刻は朝の9時過ぎ、いつもの彼女なら牧場で仕事している時間だ。
「(あとで顔出すつもりだったけど…。なんだよあれ)」
遠くからでもわかる彼女の異変に胸騒ぎを覚え、牛たちの餌を置いてすぐミカウの元に駆け出す





「ミカ!…ミカどうしたんだ?具合でも悪いのか?身体…すげー熱いぞ…」
『…シェーン…?悪いけど、これから鉱石取りに行くから…』
「そんなこと言ってる場合か…!?明らかにおかしいだろ…とりあえず俺の部屋に来い!」

熱が篭り汗ばんだ身体を抱き上げ、シェーンは自分の部屋へと小走りで向かった。


ベッドに横たわったミカウは苦しそうに浅い呼吸を繰り返す

「ミカ…なんでこんなことに…なんであそこに居たんだ?」
『…はっ…魔術師の人から、薬をもらって飲んで…』
「魔術師って…あの怪しい爺さんか?一体なんの薬を…」
『…運が上がるって』
「…胡散臭いな!」

思わず声を荒げたシェーンに、ミカウの身体がぴくりと揺れた。
自分の恋人を都合よく実験台にされたような想像が拭いきれず胸の中で怒りが膨らんでいった
額に張り付いた汗に濡れた髪を流し苦悶に浮かぶ涙を指で掬い取ると、ミカウが吐息と共に声を発した

『はぁ、…胸が…苦しいっ…服が……』
「胸?こ、ここ解くか?」

薬による不可抗力とは言え紅潮した頬のまま小さく頷いた彼女に欲情を覚えつつ、胸を締め付ける布を解いた
拘束から解放された豊満なそれが僅かに揺れるのを目の当たりにして、思わず生唾を飲み込む。

「は…ミカ…」
『な、に?』

気怠そうに身体を起こしながら手で風を作り浴びる彼女の隣へ腰掛けたシェーン
ギシ、とシングルサイズのベッドが軋み鳴いた。

「な、んかさ、エロいよな…いつもより…」
『…なに、それ…』

猜疑心の隠せない瞳を見つめて口を塞ぐ
舌でこじ開けた口内の放出しきれない熱を感じながら噛みつくように口付けた。






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