dream

□シェーン5
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数日振りに見たミカウはひどくボロボロに傷付いており、身体のあちこちが擦り傷やかさぶたで汚れていた。

「ミカウ!!」
『!』

慌てて駆け寄るシェーンへ一瞬驚き、すぐに優しく笑いかける
どうやら大怪我をしてるというわけではなさそうだがそれにしても痛々しい見た目に彼は動揺を隠さなかった。
今すぐ抱き締めたいのに傷に触れては苦しむかもしれない、と行き場のない腕があたふたと舞う

「一体なにが、…どこ行ってたんだ?ずっと心配してたんだぞ!と、とにかく病院…!ハーヴィーに処置してもらうぞ!」
『わ、』

ミカウの身体を横抱きに持ち上げると、想像していた以上の重さがシェーンの腰へと負担を掛けた
原因は恐らく彼女が大事そうに抱えているリュックの中身…
少し動く度にガチャガチャと何かが重そうに擦れる音が耳に届く。
力を入れ直し彼女をしっかりと抱き留めながら、シェーンは訝しげな瞳を降らせた

「なあ、それなんだ?」
『…ダイヤモンド』
「…まさかそれ掘るために暫く居なかったのか!?帰ってきてないから心配してたんだぞ…」
『…ちゃんと夜には帰ってきてたけど』
「うっ」

"どうせ毎晩飲みに行ってたから気付かなかったんでしょう"と彼女の瞳が訴えた通りすぎてシェーンは言葉に詰まった。
ミカウが居なかったことには気付いていたが仕事が忙しいのだと思っていたし、まさかここまで会えなくなるとは思っていなかったのだ
もっと早くに家の前で待っていれば良かったと後悔するシェーンから視線を外し、彼女は大事そうにリュックを抱えていた。







「ハーヴィー!居るか!?ミカウが怪我してるんだ!」
「…シェーン?そんな慌てて…とりあえずベッドに寝かせましょう」

診療所の扉を開ければちょうどよく目の前にハーヴィーが立っていたので助けを乞い縋る
するとすぐに診察室横のベッドが並ぶ部屋へと通され、柔らかなマットレスの上にミカウの身体を預けることが出来た。
後から部屋に入ってきたハーヴィーは消毒液や包帯が山ほど入ったカゴを持っており、これで少しは安心できるとシェーンは身体の緊張が解けていくのを感じていた。

「洗浄と消毒をしていきますね。どこか痛いところは?」
『いえ…』
「本当に?結構深い傷とかありますが…。きっと沁みますよ」
『ひッ!!?』

薬液が触れたことで痛みが覚醒したのか、そうそう聞くことのない彼女の悲鳴によってシェーンの眉間に皺が刻まれた。
痛みに身体が跳ねるたび、ハーヴィーは力を込めて彼女を押さえ付ける
そのその痛々しい処置が早く終わるように願うことしか出来ないシェーンは、自身の無力さと未だ残る後悔を噛み締めていた。








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