みんながいたから今の私がここにいる…
□9 あの方は…今…
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こん「主様、こちらの生活には慣れましたか?」
『すっすけ…さん、こっ…こんにちは…です。』
こん「はい、こんにちは。」
『そう…ですね…皆さん、私に良くしてくれて…はっ初めの…こっ頃よりは…なっ慣れたと思います。』
こん「それは、何よりです。何か、ご不便な事は、ございますでしょうか?」
『特に…ふっ不便と…感じる様な事は…無いと…おっ思われます。』
こん「では、刀剣男士達とは、うまくいっていますか?」
『…私は、その…仲良くして…いっ頂いていると…思っていますが…皆さんは、煙たく…おっ思われているかも知れません…。』
一期「大丈夫ですよ。皆、あなたに感謝していますよ。いつも本丸を綺麗にして頂き食事の手伝いや買い物までして頂けて、とても助かっていますよ。ニコ」
『私が、出来る事と言ったら、そのくらいしか出来ないので…でも、皆さんのお役に立てているようなら良かったです。ニコ』
一期と主は、お互いに微笑み合っている。その様子を見た、こんのすけは安心した顔をする。
こん「上手くコミュニケーションが取れている様で安心しました。主様も少しずつ人見知りが改善できている様ですね。では、私は、戻りますので、何かありましたら直ぐにお呼び下さいね。」
『あっはい、…しっ心配して下さって…あっありがとう…ございました。』
一期「…こんのすけ、少し良いでしょうか?」
こん「はい、何でしょうか?」
一期「主。私は、少しこんのすけと話をしてから部屋に戻ります。」
『はい。では、私は失礼します。』
主は、こんのすけと一期を部屋に残し出て行く。
こん「…どうかしたのですか?」
一期「今回は、新しい主を立てて頂いた事、この本丸を救って頂き、ありがとうございました。」
こん「いえ。私は、何もしてませんよ。今の主様が、決意して下さったので、私は書類申請をしただけです…」
一期「…。」
こん「話たい事とは、その様な事では無いのですよね?」
一期「その…あの方の…その後は、どうなりましたか?」
こん「…あの方…別本丸の主様の事が、お知りになりたいのですか?」
一期「はい。あなた達が、あの方の本丸へと向かう後を…悪霊化した前主が追い掛けて行きました…。お止めする事が出来なかった…私は、ずっと気になっていたのです。」
こん「…その事については、別本丸の事ですので…お話できません。」
一期「お願いです。私は…あの方の事 を、お慕いしています。あの方の、その後が気になるのです。どうか…どうか…教えて下さい。」
こん「やはり、そうでしたか…。では、お話しましょう。…あの方の、本丸目前で前審神者が追い着き。あの方は、とても心を痛めていました。ですが、あの方は、前審神者の悲しみを汲み取り、ご自分の霊力を使い、この本丸の三日月宗近を呼び出し前審神者と引き会わせたのです。」
一期「その様な事をしては…」
こん「はい。ただでさえ、この本丸と自分の本丸を繋げると言う事で霊力を使っていましたので、更に霊力を使い…命を削っていたと思われます。」
一期「では…あの方は…もう…」
こん「分かりません。私は、あの方の最後を見届けていませんので…。」
一期「何故…見届けなかったのですか!?」
こん「彼方の本丸に着いた時、歌仙兼定に、あの方の事と別本丸の事を忘れろ。と言われたのです。私も、あの方の事は気になりましたが、私の管轄では無いので、あれ以上、関わる事は出来なかったのです。」
一期「そう…ですか…。では、あの方は元いた世界には戻れず…此方の世界で…命尽き果てたと言う事なのでしょうか…」
こん「…分かりません…ですが…恐らくは…」
一期「そう…ですか…彼女の…最後を…教えて下さり…ありがとうございました。」
こん「…お気を確かに。」
一期「…はい。」
こん「では、私は…これで…」
こんのすけは、その場から消える。
一期は、抜け殻の様な顔をし、部屋を出て縁側に座っていた。
一期「そうか…もう…あの人は、この世には…居ない…のか…」
(あの時、私が前審神者をなんとしてでも止められていたのなら…彼女は、今もこの世界の何処かで、笑顔に過ごしていたのかもしれない。…私が…力無かったばかりに…)
『あっ!一期さん。もう、すけさんとのお話は終わっ…た…って何で…泣いているのですか?』
主は、お茶を持って一期に向かって歩いて行くと、一期の異変に気がつき、一期の側に行き横に座る。
一期「…何でも…あり…ません…。」
『何か辛い事でもあったのですか?』
一期「…。」
一期は、何も言わずに涙を拭う。
『…辛い時は、我慢しないでちゃんと泣いた方が良いです。』
一期「えっ…?」
『悲しい時、辛い時にちゃんと泣いてあげないと、心が壊れちゃうんですよ。平気、大丈夫。って頭では思っていても、心は全然大丈夫じゃないんです。…自分の心の為に素直になってあげて下さい。…私が、居たら泣きづらいでしょうから、私はこれで…』
主は、一期の側から離れようとすると一期より抱き締められる。
『あっ…』
一期「…今だけ…少しで良い…こうさせて下さい。」
『…私で、良ければ構いません。』
主は、一期の頭と背中に手を回し優しく背中を撫でる。
一期「…うぅっ…私の…せいで…。私が…ちゃんと……止めていれば…うっうぅ…。あなたには…いっ…生きて…いて欲しかったのに!!」
『…。』
一期は主の肩で泣き続け、主は無言で背中を擦り続ける。
暫くすると、一期は泣き止み話が出来るようになる。
一期「あの…すみませんでした。この様な無様な姿をお見せしてしまいました…。」
『気にしないで下さい。私も、雷の時に一期さんに泣きついてしまいまし、お互い様です。ニコ』
一期「…聞かないのですね。」
『…人様の心の傷を無理に聞き出すような事はしません。誰にだって言いたくない事や知られたくない事はありますから。』
一期「…。」
(本当に…お優しい方だ…。この方なら…信じても良いのかも知れない。)
『あっあの…そろそろ、少し離れませんか?///』
一期「えっ…」
『えっと…ちょっと…恥ずかしいと言いますか…その…照れると言いますか…///』
主と一期は、縁側で肩が触れる程の近さで隣同士に座り見つめ合って話をしていた。
一期「あっ…そうですね。ちょっと近いですね…。」
そう言い、二人は少し離れようとすると、後ろから足音を立てずに近づくモノがいた。
鶴丸「わぁっ!!!」
一期「ビクッ」
『わぁっ!!!』
鶴丸「はっはっはっ!驚いたか?クスクス」
『鶴丸さん!びっくりしました!もう…』
一期「大丈夫ですか?」
『あっ…はい。』
鶴丸「何だ。一期は、あまり驚かなかったのか?」
一期「いえ、驚きました。…鶴丸殿、そう言うのは、止めて下さい。主は、まだ貴方のそう言う行動に免疫が無いのですから。」
鶴丸「おっ?主の為か〜。だが、俺は驚きが無いと退屈でなぁ…。君も、この位の驚きは許してくれるだろ?」
『えっ…まぁーびっくりしましたが、たまにでしたら良いですよ。ニコ』
鶴丸「良かった、良かった。でっ君達は、こんな所でそんなに体を近づけて何をしていたんだ?」
一期「…。」
『話をしていました。鶴丸さん、冷めてしまいましたが、お茶は如何ですか?』
鶴丸「おっ!頂こうか。」
『どうぞ。』
鶴丸「でっ何の話だ?」
『えっ?』
鶴丸「気になるじゃないか。二人が、こんな至近距離で何を話ていたのかってなぁ…愛の囁きか?」
一期「愛の囁きって…はぁ💨」
鶴丸「何だ、違うのか?じゃあ、何を話ていたんだ?」
『気になるんですか?』
鶴丸「気になる。」
『…。』
鶴丸「君は、俺の友達なんだろ?友が、俺以外のモノと親密に話をしていたら、何を話しているか気になるだろ?」
『そうですね、気になりますよね。ですが、これは一期さんと私だけの秘密なので、鶴丸さんにはお話できないんです。ごめんなさい。』
鶴丸「何だよそれ…」
『ごめんなさい。』
鶴丸「君は、一期の事が好きなのかい?」
『えっ私ですか?好きですよ。』
一期「えっ…」
鶴丸「…。」
『でも、鶴丸さんも好きです。ニコ』
鶴丸「…友達として聞いたんじゃないんだがな…まぁーいいか。」
『えっ?』
鶴丸「全く…君は、仕方がない子だな。あまり、心配掛けさせないでくれよ。じゃーな」
鶴丸はお茶を飲み干し、その場を去る。
一期「あなたの事を心配していたのですね。」
『えっ何でですか?』
一期「クスクス。」
(私が、彼女に言い寄ったりしていないか、心配だったのでしょう。大切にされているみたいです。)
一期「大切な友が出来て良かったですね。ニコ」
『はい!鶴丸さんもですが、一期さん達も大切な仲間です!ニコ』
一期「…ありがとうございます。ニコ」
その場を去った鶴丸は、廊下の曲がり角で二人の話を聞いていた。
鶴丸「大切な仲間かぁ…。俺達は、良い主にやっと巡り合えた様だな。クスクス」