みんながいたから今の私がここにいる…

□7 雷
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『一期さん!お待たせして、すみません💦』

一期「いえ、急がなくて良いのですよ。…お目当ての物は、買えましたか?」

『はい!』
((さすがに…下着までは、前の主さんのを使う訳にはいかないし…それに何から何まで派手なんだよねぇ…。きっと、陽キャな人だったんだろうなぁ…私じゃ手の届かないくらい明るくて自分に自信を持ったキラキラした人なんだろうなぁ…。))


一期「あの…聞いていますか?」

『えっ!あっ…はい…って話し掛けてくれてましたか?』

一期「はい…少しお疲れなのでは、ありませんか?」

『あっ…いえ。疲れてなんて無いですよ!ちょっと自分の心とお話していただけですから…』

一期「そうなのですか?…自分の心と…ですか…」


((はっ!!私、何言ってるのぉ!!自分の心と話てただなんてキモいって思われるじゃない💦))


『あの…えっと…その…』

一期「何か悩んでいる事があるのでしたら、私で良ければ話して下さい。」

『えっ…』

一期「あなたが、何かを一人で抱えて悩んでいる様なら頼って貰いたいのです。」


((ちょっと!ちょっと!!一期さん…そんな真剣なお顔で心配そうに私の顔を見ないで下さい💦))


『えっと…はい、分かりました。悩む様な事がありましたら…一期さんを頼らせて貰います…////』

一期「はい。ニコ」


((あぁ〜こんなイケメンが、こんな私に微笑みかけてくれてる…幸せ…。))


一期「ですが…随分と買い込みましたね。」

『そうですね。ちょっと本丸内を見て回ったら掃除道具や洗剤などが殆んど置いて無かったので、政府さんからお金を沢山頂いたので買い揃えさせて貰いました。』

一期「厨の道具もですか?今、ある物で十分なのでは?」

『今、ある物だとデザートなどを作るのにちょっと不便でして…』

一期「甘い物がお好きなのですか?」

『あっ…そうですね…私がって言うよりは…皆さんに食べて貰いたくて作ってみようと思ったんです。』

一期「…あなたって人は、何時もそうなのですか?」

『えっ?』

一期「何時も自分の事より人の為に何かをしようとするのですか?」

『あっいえ、そんな…人の為にだなんて、私…全然…そんな余裕ないです。いつも自分の事しか考えてなくて…人からどう思われているかって気にしすぎて、いつの間にか人と話をするのが苦手になっちゃって…いつもおどおどしてしまって…』

一期「ですが、今は私と普通にお話してますね。ニコ」

『あっ…そう言えば…そうですね。』

一期「あなたが、こちらの世界に迷い込んで来た時…とても怯えて私や皆と会話らしい会話など全然でしたが今は…どうですか?」

『一期さんが、優しく私に接してくれるから…普通に話せるようになったんだと思います。ニコ』

一期「おや、私のお陰でしたか?」

『クスクス。そうです。一期さんのお陰です!得たいの知れない私なんかに親切にしてくれて、ありがとうございます。』

一期「あなたは、もう我々の主ですよ。得たいの知れない、だなんて言わないで下さい。ニコ」


((あぁ〜本当に、この人って心がキレイなんだろうなぁ…。いつも私を安心させてくれて、笑顔にさせてくれる…この人と居ると心が温かくなる。))


一期「っと、そろそろ急ぎましょうか。」

『えっ?どうかしたのですか?』

一期「雨が…降ってきそうです。」

『本当ですね。空が暗い…急ぎましょう!』



主と一期は、荷車を二人で協力して押し本丸へ急いで帰るが、辿り着く前に雨が振りだしてしまう。本丸近くの木の元で雨宿りをする。



『どしゃ降りだぁ…』

一期「濡れましたか?」

『あぁ…少しだけです。一期さんは、大丈夫ですか?』

一期「私は、大丈夫ですが…これを。」



一期は、自分が着ていた上着を主の肩に掛ける。



『えっ!!?いいですよ💦ちょっと濡れただけですから!』

一期「いいえ。女性の体は、冷やすと良くありませんので受け取って下さい。」

『でも…///』

一期「私は、大丈夫です。男の体は、頑丈に出来ていますからね。クスクス」


((…頑丈って言っても細マッチョ?華奢に見えるのですが…。))


『では…お言葉に甘えて…』

一期「はい。ニコ」

『…何か…鳴りそう…』

一期「えっ?どうしましたか?」

『いっいえ…何でも無いです…。』



大雨が降り続く中、曇天より稲光が走ると雷鳴が轟く。



ゴロゴロゴロ…



一期「雷ですね…近くに落ちなければ良いのですが…って…えっ…」



一期は、主の方を見ると、主は一期が貸した上着を頭から被り木の方を向いて、しゃがみ込みブツブツと何かを呟いていた。



『大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫…絶対に大丈夫…。』

一期「ある…じ…?」

『怖くない、怖くない、怖くない、怖くない…』



一期は、怯えきっている主を見て、居ても立っても居られず、主を立たせ自分の方を向かせ抱き締める。



『えっ…』

一期「…雷が…怖いのですか?」

『いっ…いえ、これは…その…』



ピカッ
ドンゴロゴロゴロ…



『いっ!!!』



雷が近くで落ち、とてつもなく大きな雷鳴が轟く。主は、一期に抱きつき声を出さないようにして泣き出す。



『ごっごめんなさい💦いっ今、直ぐに離れ…ます…から…。ヒック』

一期「大丈夫ですよ。側に居ますから、安心して下さい。私が、守ります…大丈夫…大丈夫です。」



一期は、優しく主に声を掛けながら、主の背中を優しく撫でる。



『あっ…ありが…とうございます。』

一期「…弟達にも良くこうして居たので…。」


((弟達って…一期さん、弟さんが居るんだ。…でも…本丸には…小さい子なんて…居な…いのに…。やばい…ちょっと…安心してきたら…眠く…))


『ZZzz…』

一期「寝て…しまいましたか。…弟達と同じですね。クスクス」



雨は止み。主が一期の胸の中で寝てしまう。一期は、荷車をその場に置き、主を抱き上げ本丸へと戻る。



本丸



小狐丸「一期殿。買い出し、ご苦労様でした。雨の中、大変でしたね…って何故、その方を抱き抱えて居るのですか?」

一期「雨宿りをしていたら寝てしまったのですよ。小狐丸殿、申し訳ありませんが、買い出しに行った荷物が本丸近くの木の所に荷車に乗せて置いてあります。取りに行って貰えますか?」

小狐丸「えぇ、構いませんよ。…しかし、雨宿りをしていて寝てしまうとは…。はぁ💨今度の主は、随分と幼い主ですね。」

一期「おや?小狐丸殿は、この方を主と認めたのですかな?ニコ」

小狐丸「!?いっいえ…別に…私は…認めてなど…///」

一期「きっと、この方なら小狐丸殿が自分を主と認めてくれた。と言って大喜びしてくれますよ。ニコ」

小狐丸「そっ…そうでしょうか…。」

一期「えぇ、きっとそうですよ。お祝いに、いなり寿司を沢山作ってくれる事でしょう。クスクス」

小狐丸「いなり寿司…わっ私、荷車を取りに行って来ます。一期殿、ぬしさまをお任せ致します。」



小狐丸は、急いで荷車を取りに行く。



一期「…聞いてましたか?」

『はっ…はい。とっっっっても!!嬉しいです!!ニコ』

一期「良かったですね。ニコ」

『はい!こうしては居られません!今日の晩ご飯にいなり寿司と狐うどんを作ります!!』

一期「お手伝い致しましょう。クスクス」

『あの…今日は、ありがとうございました。雷もそうですが…私、途中で寝てしまって、ここまで運んでくれたんですね…重かったですよね。』

一期「お気になさらないで下さい。男として当然の事をしたまでです。ニコ」



この日より小狐丸は、主の事をぬしさまと呼び、付かず離れずの距離を保ち側に居るようになった…。
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