みんながいたから今の私がここにいる…
□4 悪夢
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『…いっ行っちゃい…ました…』
一期「あの…本当に良かったのですか?」
『あっ…はい…わっ私…頑張ります…』
((私で償えるか分からないけど…出来る事をするしかない!))
一期「はい。こちらこそ、宜しくお願いします、主。」
『えっ…あっあるじ…?』
一期「はい。この本丸の審神者になられたのですから、我らはあなたの事を主と皆が呼びます。」
『そっそう…なのですか…。』
((主かぁ…気恥ずかしいけど早く馴れるよう頑張ろう!))
一期「頑張って下さいね。ニコ
…あぁ、それと…あなたの名前ですが、皆には絶対に教えないで下さい。我らは神ですので、人間の真の名を知れば、どうにでも出来てしまうのです。」
『えっ…どっどうにでも…とは?』
一期「呪い殺す事や神隠しに合わせる事、あとは言霊縛りです。」
((神様って…怖っ!))
『あっあの…でっでも…一期さんは…私の名前を…』
一期「私は、あなたの味方です。安心して下さい。ニコ」
『あっありがとうございます!ニコ』
((…一期さんって優しく笑う人なんだなぁ…。))
一期「主の部屋ですが、昨日寝起きした部屋をお使い下さい。着物等も箪笥の中にあると思いますので、そちらをご自由に使って頂いて構いません。」
『あっあの部屋…ですね。分かり…ました。』
((着物かぁ…動きづらいのは、嫌だな…。))
一期「本日は、もう部屋でゆっくりお過ごし下さい。後で食事を部屋にお持ちしますので。」
『かっ神様も…食事を…たっ食べたりするのですか?』
一期「はい。我らも食べますよ。」
『みっみんなさんで…食べているの…ですか?』
一期「そうですね…この本丸には、五振りしか居ませんので皆、自由に食事を摂っています。」
『だっ誰が…食事の…支度をして…いるのですか?』
一期「主に私ですが…どうか致しましたか?」
『あっあの!…明日から…わっ私も手伝っても…いっ良いでしょうか?』
一期「えっ!主は、その様な事をしなくて良いのですよ。」
『なっ…何か…でっ出来る事を…したいのです。』
一期「そうですか…分かりました。では、明日から宜しくお願いしますね。ニコ」
『ありがとうございます!ニコ』
一期「はい。クスクス」
『あの…いっ一期さんは…笑顔が素敵…ですね。ニコ』
一期「えっ…///
その様な事…言われた事ないですよ。」
『一期さんの…笑顔を見ていると…何だか…心が、ホッとします…。』
一期「や、止めて下さい///
はっ恥ずかしいです…。」
『…すっすみません。』
一期「さぁ!もう、良いですから部屋に戻って下さいね。」
『はい。』
((一期さんが、用意してくれる食事…楽しみだなぁ〜。ニコ))
主は、部屋へと戻って行く。
一期「全く…調子が狂う。」
(我らの本丸は、これからです…。あの方の本丸に劣らない良い本丸にしたいものですな。ニコ)
自室
『あっ!そう言えば、一期一振って神社で刀の御朱印になってたやつだ!!…そっか…あの人って人の姿でもかっこいいけど、刀の姿もかっこいいんだ…。クスクス』
主は、1日を部屋で過ごした。夜になり夢をまた見ていた。
((あれ…ここは…本丸?))
三日月「…すま…ぬ。」
((えっ…また、声が…))
三日月「そな…たを…」
((ん?今度は、子供の声じゃない。))
三日月「止められ…なかった…俺を…」
((男の人の声…。))
三日月「許…して…くれ…。」
((何だか…苦しそう…。))
三日月「其方…を…置いて…先に…逝く…事を…許して欲しい…。」
((えっ…行くって、何処に…))
三日月「さよなら…。俺の…」
『待ってー!!』
主は、大きな声を出して勢い良く布団から起き上がると、そこにはまた一期が横に居た。
一期「また、悪夢ですか?」
『あっ…一期さん…。』
一期は、ハンカチを手に取り主の涙を拭く。
『…また…私、泣いて…』
一期「馴れない環境です。暫くは、悪夢を見てしまうのかもしれませんね…。」
『はぁ💨…今日から、その…頑張り…ます。』
一期「はい。では、私は廊下でお待ちしていますので、支度して下さいね。」
『はい。』
一期は、部屋を出て主の支度が終わるのを待つ。
主は、箪笥の前に行き着物を見る。
((うっわぁ〜何か、ド派手な着物ばかりなんだけど…これ着たら汚さないように気を使って何も出来ないなぁ…。))
『どうしよう…』
襖の向こうから一期が声を掛ける。
一期「どうかなさいましたか?」
『あっ…いえ…なっ何でも無いです。えっと…あの着る物って着物…しか無い…ですよね?』
一期「そうですね…箪笥の中の着物が、お気に召しませんでしたか?」
『あの…動き易い物とかが…良いのですが…』
一期「あるには、あるのですが…その…もう、この本丸には居なくなってしまった刀剣の服でも宜しいですか?」
『わっ私は、構いませんが…皆さんが、その服を…わっ私が着ても…その…へっ平気…でしたら…良いのですが…。』
一期「…多分、大丈夫だと思います。」
『では、それを…貸して頂けますか。』
一期「はい。今、お持ちしますので、暫しお待ち下さい。」
『はい…。』
一期は、自室に戻り上下セットの服を持ち主に渡す。
((これは…作務衣?甚平?どっちだろう…。))
『…一期さん…お借りしますね。』
一期「はい…。」
(三日月殿の内番の時の服。私が、前主に着る様に渡されたが、着る気にはなれずに、ずっと仕舞ったままだった服…彼女に渡して良かったのだろうか…。)
『ちょっと…大きいけど裾を折れば何とかなる!』
一期「着れましたか。」
『あっ…はい。』
襖を開け、一期の前に三日月の内番服を着た主が現れる。
一期「…お似合いですよ。ニコ」
((これなら泥だらけになっても気兼ねなく動ける!))
一期「先ずは、今朝もこんのすけが昨日の報告をしに訪れてますので話を聞きに行きましょう。」
『はい。』
昨日と同じ部屋に行くも、今度はこんのすけだけで他の刀剣達は、その場には居なかった。
こん「主様。おはようございます。」
『こっこんのすけ…さん。おはよう…ございます。』
こん「あの…こんのすけさんは、ちょっと…。」
『えっ!えっと…では、なっ何と…お呼び…したら…良いでしょうか?』
こん「こんのすけで良いのですよ。」
『そんな…良い妖怪さんを…よっ呼び捨てに…なんて…でっ出来ま…せん。』
((ん〜そうだな…こんのすけ…こん…こんちゃん…のすけ…すけさん!))
『あの…では、すっすけさんと…よっ呼ばせて…貰っても…良いでしょうか?』
こん「!?その様にあだ名で呼んで頂けるのは、何やら懐かしく思ってしまいますなぁ…。すけさんですか…はい。主様が、そう呼びたいのでしたら構いません。」
『あっありがとう…ございます…すけさん。あの…まっ前の主さんにも…その…あっあだ名で…呼ばれていたのですか?』
こん「いえ…前審神者は、その様には…。では、昨日の政府への報告の結果をお話します。」
((ん?))
『あっはい…よっ宜しく…お願いします。』
こん「政府は、ブラック本丸をそのまま引き継いで頂ける事をとても喜んでいました。又、この本丸の財政をお調べしましたら資源、金子が底をついていました。これでは、何も出来ないと判断し政府よりお気持ちではありますが各資源と金子を五十萬づつプレゼントしてくれるそうです。」
((50万円!!))
こん「あと、手入れ部屋の増築と廃墟化した本丸のクリーニング、修復工事をしてくれるそうです。」
『なっ何から何まで…ありがとう…ございます。』
こん「他に欲しい物などありますか?」
『あっあの…私にじゃなく…ここの皆さんに…なっ何か買ってあげて欲しいのですが…だっダメでしょうか?』
こん「…主様が、望まれるのでしたら構いませんが…ご自分は、何か無いのですか?」
『わっ私は、特に…無いです。』
一期「…服が、欲しいと…お願いしても良いのですよ。」
『私には、これがありますし…何か正装しなきゃいけないような行事は箪笥の中の綺麗な着物を着ますから大丈夫です。ニコ』
こん「その服は…三日月宗近の物ですね。」
『三日月…宗近さん?』
こん「この本丸に居た刀剣です。もう、居ませんが…」
『もう居ないって…どっ何処かに…行ってしまったのですか?』
こん「それは…」
一期「旅に出たのですよ。」
『旅?』
一期「はい。長い長い旅に行ってしまったのです。ですから、もうそれは着られる事は無いので、あなたが着ていても平気です。ですが、折角ですので動きやすい服を頼んでも良いのではないでしょうか?」
『そう…ですか。でも、私にはやっぱり…欲しい物は…今の所…無いようです。』
こん「分かりました。では、此方の刀剣達には喜びそうな物を後で見繕いお渡ししておきます。…それと、ついでに作業しやすい服も見繕っておきますね。これは、私からのプレゼントです。」
『えっ…でも…良いのですか?』
こん「構いません。あなたが、この本丸に来てくれた。私からの細やかな贈り物です。ニコ」
『あっ…すみません。ありがとう…ごっございます。』
こん「良いんですよ。あと、何か聞きたい事はありますか?」
『私は…こっここで…何をしたら…良いのですか?』
こん「そうですね…。先ずは、今居る刀剣達と仲良くなって下さい。」
『あっ…は…い。』
((刀剣達かぁ…煙たがられてる感じだったよね…仲良くなれるよう頑張らなくっちゃ!!はっ!待って…人見知りの私に、神様方と仲良くなんて出来るのかぁ…?))
こん「では、私はそろそろ戻りますが、まだ何か聞きたい事はありますでしょうか?」
『わっ…分からない事だらけだけですが…頑張ります。』
こん「良い心がけですね。では、後の事は一期一振殿。宜しくお願いしますね。」
一期「分かっているよ。」
こんのすけは、二人の前から姿を消す。
こん「…すけさんですか…。あの方は、こんちゃんでしたが…すけさんも中々ですね…クスクス」