みんながいたから今の私がここにいる…

□2 不安な1日
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本丸へと辿り着くと廃墟の様にあちこち朽ちて汚れている本丸だったが、一室だけ綺麗な部屋に案内される。



((廃墟みたいな外観と室内だったのに…この部屋だけは、綺麗…何でなんだろう。))



一期「私は、一期一振と申します。あなたのお名前を伺っても宜しいですか?」

『あっ…はっはい。…わっ私は、名無さん名無と…いっ言います。』
((一期一振って…何処かで聞いたような…。))


一期「名無さん名無…。良い名ですね。」

『あっありがとう…ございます…。』

一期「お茶を用意しましたので、どうぞ…」

『いっ頂き…ます…💦』



湯のみに入った熱々のお茶を勢い良く飲む。



一期「あっ!まだ、熱…」

『あっつぅいぃ〜〜!!』

一期「あぁ…。」

『はっ!?』

一期「喉が、渇いていたのですね。」

『あっあの…すみません。…行儀の悪い事を…してしまいました…💦』

((ずっと歩き続けていたから…喉がカラカラだったんだよなぁ…。))


一期「冷たい飲み物を用意致しましょう。」

『いっいえ…もう…平気です。』

一期「そうですか。」

『あの…きっ聞いても…いっ良いですか?』

一期「どうぞ。」

『わっ…私は…元の世界に…帰れるのでしょうか?』

一期「分かりません。明日、こんのすけに聞いてみないとですが…多分、帰る方法は無いと考えた方が良いと思います。希望は、持たない方が良い。思っていた事が、叶わないと分かった時…あなた達、人間は途方も無い絶望に心が耐え切れなくなる。」

『…そう…かも…知れませんが…私達は、希望を持つから生きて行けるんです。少しの可能性かもしれないけど…私は、希望を持っていたい…です。』

一期「あっ…」
(あの方に少し…似ている。)


『あっ…あの…すみません…私…いっ今…偉そうな事を…』

一期「…いえ、大丈夫ですよ。今日は、お疲れでしょうから、もうお休みになって下さい。この部屋の奥に布団が用意してあります。其処で、お休み下さい。明日、こんのすけが訪れましたら話をしましょう。」

『はっはい…。』

一期「では、失礼致します。」



一期は、部屋から出て行く。



『あの人…何だか悲しい目をしてたな…。何でだろう。まぁー考えても仕方ない。明日、こんのすけさんと話をするんだから、もう寝よう。』






一期「はぁ💨…あの方の事を思い出してしまいました…。今も、お元気でいるのでしょうか…。」






彼女は、眠りに着き夢を見ていた…



『ここは…何処?一期さんに連れて来られた、お屋敷っぽいけど…随分と…綺麗…私が、連れて来られた、お屋敷は、もっと朽ちていて廃墟みたいだったのに…』



五虎退「…たい…です…。」



『えっ?』



何処からともなく子供の声が聞こえてくる。



五虎退「痛い…。たす…けて…」



『何…?誰かが、苦しんでるの?』



耳を澄ますと子供の声は、どんどんと大きくなり一人ではなく、大勢の子供の助けを求める声が聞こえてくる。



乱「痛いよ!助けて!!…怖いよ。苦しい…何で、こんな事するの…助けて!…いち…に…。」


『何…この声…。誰か居るのー!?返事をしてー!!』


薬研「…くっそ…。何で…こんな事を…い…ちに…い…。助け…て…くれ…」



彼女は、夢から覚め布団より叫び声をあげながら起き上がる。



『なんで、返事をしてくれないの…聞こえないのーー!!』

一期「あっ…はい。聞こえています。」

『えっ…?』

一期「あの…部屋の外で、お目覚めのお声掛けをしたのですが…何やら、うなされている様でしたので…部屋の中に入らせて頂きました。…大丈夫ですか?」

『あっ…はい…』
((夢、だったのか…はぁ💨))


一期「あの…涙が、流れています。悪夢でも見てしまいましたか?」

『えっ…私…泣いて…』



彼女は、服の袖でゴシゴシと涙を拭くと一期に両手を掴まれる。



一期「そんなに強く擦っては、傷が出来てしまいます。」

『あっ…はい…すっすみま…せん…。』

一期「此方をお使い下さい。」



一期は、ハンカチを差し出す。



『あっありがとう…ございます。』

一期「こんのすけが、訪れてますので会いに行きましょう。」

『…はい。』



一期と共に昨日案内された部屋に入ると見知らぬ男性5人も、その場に居た。



((…不思議な格好をしている人達が居る。この中の誰が、こんのすけさんなんだろう…。))



彼女は、一期に座るよう促された一人掛けのソファーに座る。彼女の前には、一匹の子狐が座布団の上に居る。



一期「あらかじめ、あなたが昨日、此方に迷い込んで来てしまった事は、皆に説明してあります。」

『あっ…ありがとう…ございます。…えっと…その…こっこんのすけ…さんは…どっ何方なの…でしょうか…?』



彼女は、そう言うと一期や他の5人が座っているソファーの方を見渡す。



こんのすけ「こんのすけは、私ですよ。」

『えっ…』



彼女は、声がした方を恐る恐る見る。



『いっ今…あっあなたが…しゃっ喋ったん…ですか?』

こん「はい!私が、こんのすけです。」

『きっ…狐が…喋ってる…💦』

こん「私は、狐ではありません。管狐です。」

『管狐って…』

((妖怪だよね?))


こん「私は、妖怪ですが悪い事や人を怖がらす様な事はしませんので、ご安心下さい。ニコ」

『…そっそう…なん…ですか。えっと…』

((私、今、異世界に居るんだから精霊さんが居るなら妖怪やお化けだって現実世界じゃ、あり得ない存在が居てもおかしくないんだよね…。))


こん「解決しましたか?」

『あっ…はい…なっ何とか…。』

こん「では、あなた様が元の世界に帰れるかと言う事ですが、今の所、その方法は分かりません。ですが、私もどうにか、あなた様が無事に元の世界に帰れる方法を探してみます。ですので気を落とさないで下さいね。」

『…あっありが…とう…ございます。』

((優しい狐さんだ…。))


『あの…でも、私…おっお金…とか持って無いですし…この世界で…どうやって…いっ生きていけば…良いのか…わっ分かりません。』

こん「その事なのですが、私に一つ良い案があります。あなたには、此方の本丸の審神者になって頂けないでしょうか。」

『えっ…さっさにわ?…って…何ですか?』

こん「そうですね。審神者の説明の前に此方の世界についてお話させて頂きますね。」
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