みんながいたから今の私がここにいる…
□1 異世界への旅立ち
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とある神社の社務所前
『あぁ〜今回の旅は、いい旅だったなぁ〜。参拝も済んだし、後は御朱印を頂いて旅は終わりかぁ〜。寂しいけど…現実に戻らなきゃねぇ〜。』
巫女「こんにちは。」
『!?こっ…こんにちは…あっ…あの…御朱印…頂けますか…。』
巫女「はい、承りました。刀の御朱印もありますが、如何ですか?」
『えっ…かっ刀…ですか?』
巫女「はい。当神社は、鍛冶神社もありますので、刀鍛冶の刀工をお祀りしているのですよ。」
『そう…ですか…見本とか…みっ見せて…貰えますか…』
巫女「こちらになります。」
『…いちご…ひとふり…?』
((カッコいい!))
『あっ…あの…そちらの…御朱印も…一緒に…くっ下さい!!』
巫女「はい。かしこまりました。出来上がるまで、少々時間を頂きます。当神社は、本殿の裏に紫陽花が植えてありますので、そちらをご覧になられていないようでしたら見に行ってみては、如何でしょうか。」
『あっ…紫陽花…ですか…見てきます…。』
巫女「はい、ごゆっくりどうぞ。」
本殿裏
((知らなかったなぁ…。神社の見取り図は、見たけど紫陽花が咲いてるまでは、書いてなかったからなぁ。旅の最後の思い出に、いっぱい写真取っちゃおっと!!…刀の御朱印とはねぇ〜。かっこよかったなぁ〜。この機会に刀の御朱印も集めようかな。クスクス))
『はぁ💨全く…私の人見知り、どうにかなら無いものかなぁ…あの巫女さんは、優しかったから嫌な顔されなかったけど…おどおどしすぎだよ…。どうしても人と話す時って、緊張しちゃうんだよなぁ…。はぁ💨悩みの種だなぁ〜。』
本殿裏の林の細道を暫く歩き続ける。
『結構…歩いたけど…紫陽花なんて全然見当たらない。…なんか、物凄く静かだな…車の音とか何も聞こえないし…ここだけ別世界になってるような感じ…。ちょっと怖くなって来たかも…でも、道は続いているから、もう少ししたら着くのかな…』
奥へ奥へと歩き続けると道の先に林が拓け、一本の大木が目に入る。
『あれ?紫陽花じゃなくて御神木?みたいなのがある。…何か林も抜けちゃうみたいだけど…道は、これで合っていたのかな?』
大木の元まで辿り着く。
『わぁ〜!随分と大きな木…。樹齢何百年って感じ。木の根も物凄く太いし、座って寄り掛かるには、調度良いかも!ちょっと疲れたから一休みしよ…うかなって…えっ?』
木の根に座り寄り掛かっている老人を見つける。
『えっ…あっあの…お爺さん…だっ大丈夫…ですか?』
精霊「はっ?」
『えっと…あの…気分が…悪いのならじっ神社の人を…よっ呼んで来ましょうか?』
精霊「…其方…儂が、見えるのか?」
『えっ?あっはい…みっ見えて…ます…けど…。』
精霊「そうか。儂が見えるのか。」
『まっまさか…みっ見えちゃ…いっいっいけない何か…ですか…?』
精霊「あぁ〜別に怖がる事は無い。見えて平気じゃよ。其方が、今思っている様な、おっかないモノでは無いから安心せい。」
『おっお化け…では…』
精霊「違うのぅ。ほれ!触れるじゃろ?」
老人は、手の平を向けて来た為、恐る恐る手を合わせてみる。
『…さっ触れ…ました!』
((はぁ💨良かった…。))
精霊「…ほう。中々じゃな。」
『えっ…?なっ何…』
精霊「いや、何…気にするな。」
『…?』
精霊「それで、其方は、どうやってここに来たんじゃ?」
『どっどう…やってって…歩いて…来ましたけど…』
精霊「歩いて…。誰ぞやに神隠しされたとかでは無いのか?」
『かっ…神隠し?』
精霊「あぁ…まだ、現実世界だと思っているのか。」
『へっ…?』
精霊「ここはな、其方が居た世界とは別の異世界なんじゃよ。分かるか?」
『なっ何を…言って…いるん…です…か?』
精霊「其方は、儂をお爺さんと呼ぶが、儂は人では無い。」
『えっ…さっき…おっお化け…じゃ…ないって…いっ言いましたよね…』
精霊「うむ。妖かしでは無い。儂は、この木の精霊じゃよ。」
『えっ…せっ…精霊…さん?』
精霊「そうじゃ。」
『…。』
((なんか私、頭打ったのかな?これは、夢だよね。旅行が、楽しすぎて現実逃避で夢を見てるんだよね。早く目を覚まさなきゃ💦))
ポコポコと自分の頭を叩く。
精霊「これ、これ!無駄な事は止めるんじゃ。其方が、今見ているモノは全て、現実だ。夢では無い。」
『なっ何で…どう…して…』
((私、異世界になんて来たのよぉ〜〜!!))
精霊「まぁー落ち着け。其方が、ここに来た経緯を話てみよ。」
『経…緯?私は…なっ何も…していません。ただ…歩いて…いただけ…です。…神社の…境内の…うっ裏に…あっ紫陽花が咲いて…いると教えて貰ったので…紫陽花を見に道を…歩いていた…。そっそれだけ…です…。』
精霊「取り乱すな。大丈夫だから落ち着くんじゃ。」
『…。』
精霊「其方が、その道を歩いている時に何か違和感を感じたりはしなかったか?」
『あっ!あの…歩いている時に…きゅっ急に外なのに…なっ何の音も…しなくなって…私が、居た所だけが…べっ別世界に…居るような…そんな感じが…しっしました…。』
精霊「それじゃな。多分じゃが…其方が通った、その道は神の道だったのではないかのぅ。」
((神の道?))
精霊「神の道は、その名の通り神様が通る道じゃよ。」
『そこを…人間が…通るとこっ…こんな風に…別の場所に…飛ばされて…しっしまうの…ですか…?』
精霊「ただの人なら、その道を通っても何の害も無いじゃろう。だが…其方は、中々の力の持ち主じゃ。」
『…力って…何ですか?』
精霊「ん?無自覚か?」
『…?』
精霊「先程、其方と手を合わせた時に感じたが、其方の霊力は中々のモノじゃったよ。」
『…わっ私…そんなの…知らない…』
精霊「まぁー今は良い。話を戻すと、その力を持っていたが故に其方は此方の世界に迷い込んで来てしまったようだな。」
『…そっそう…なのですか…。』
その場にしゃがみ込むと精霊は、優しく背中を擦る。
すると、そこに一人の青年が来て老人に話し掛ける。
一期「こんにちは。我らの処遇が決まりました。それで、ご報告に参りました。我らの本丸は…明日、解体される事が決まりました。我らも溶かされる事となりました。」
精霊「おぉ。お主か、そうか…やはり、そうなってしまったか…。」
一期「あの時は、お世話になりました。では、お元気で…」
『…?』
うつ向いて居た所に声がした為、見上げると青年と目が合う。
一期「…その方は?」
精霊「あぁ…人間じゃよ。」
一期「!?何故、此方に人が?」
精霊「迷い込んで来てしまったようじゃ。悪いがお前達は、明日あの本丸と共に解体される身なのは、重々承知じゃが…この子を元の世界に返す方法をあの狐に聞いて貰えないだろうか?」
一期「こんのすけにですか?」
精霊「あのモノなら何か分かるのでは無いだろうか?」
一期「…そうですね。聞くだけ聞いてみましょう。」
精霊「さぁ。お嬢さん、このモノに着いて行くと良い。もしかしたら、元の世界に帰れる方法が見つかるやもしれぬ。」
『えっ…あっあの…おっお爺さんは…いっ一緒に…来て…くれないの…ですか?』
精霊「儂は、この木の精霊じゃ。この木からは、離れられないのじゃよ。」
不安げな顔をし老人の腕を掴む。
精霊「大丈夫じゃ。取って食われたりはせん、安心しろ。この者は、優しい男よ。」
『…。』
一期「…では、参りましょう。」
『はっはい…』
青年の後を少し離れて着いて行く。