〈二部〉

□2 短刀達の秘密会議
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大広間では、白熱した話し合いが行われていた。


その内容とは…



平野「やはり、いち兄が、一番では無いでしょうか。数ある藤四郎兄弟の長兄ですので、しっかりモノです。優しさもあります。…少し思い込みのせいで突っ走る事はありますが…」

愛染「いやいや。国行だって良い所くらいあるぜ!何時も面倒臭がってはいるが、やる時はやる男だ!そして、あぁー見えて思いやりも優しさもある!」

謙信「ぼくのところは…ふたりともかおがいい!りょうりができる!すぐ、くどくことができる!…大般若よりは燭台切のほうが、かていてきでいいかな…。りょうりのできるおとこは、もてるってあるじがいっていたぞ!!」

堀川「僕の兄弟だって…極になってからは、自分に自信を持って写しの事なんか気にしなくなったよ!思いやりや優しさもある。それに…とっても綺麗なんだ!」

前田「おや?貞宗兄弟は、何か無いのですか?」

太鼓鐘「えっ…」

物吉「えっと…」

太鼓鐘「はぁ💨あるぜ!長兄、亀甲貞宗は………あっ!主を守る為に一度折れてる!!」

蛍丸「あとは?」

物吉「あと…ですか…。そうですね…主様の為なら火の中、水の中…何処へでも行きますよ。」

太鼓鐘「あぁ〜もう、面倒だな…主を大好きだよ!これでどうだ!!」



太鼓鐘の最後の一言で他の短刀、脇差達がうちの兄だって、主を大好きだ!と騒ぐ。



平野「巴さん!!我らの兄弟の中で一番、主さまに相応しいのは、誰ですか!!」

巴形「…すまない。やはり俺には、少し難しいな…。皆の兄弟が、とても良い刀だと言う事は分かるのだが…。主には、どの刀が相応しいかは俺には分からない。」

乱「こうなったら、主さんにドキドキして貰ったら良いんじゃない?」

小夜「ドキドキ?」

乱「そう。皆のお兄さんが、主さんをドキドキさせるようなシチュエーションを作るんだよ!」

蛍丸「それいいね!うまくいけば主さん、元の世界に帰りたくなくなって誰かの兄弟と一緒になるかも!」

乱「ねっ!いいでしょ!じゃあ、皆、頑張ろう!!」

皆「おぉーう!!」

巴形「これで良いのだろうか…。」




皆は、各自部屋に戻り作戦を練る。





1番手 貞宗兄弟



亀甲「なんだい?太鼓鐘、僕に用事かい?」



廊下の掃き掃除をしていた亀甲に太鼓鐘が話し掛ける。



太鼓鐘「これから主が、手伝いに来るから良い所を見せてやってくれよ!兄弟!!」

亀甲「えぇっ!ご主人様が!!」

太鼓鐘「くれぐれも、キモい事を言わないでくれよな…。」

亀甲「分かったよ!ウフフフ」

太鼓鐘「笑い方が、キモいなぁ…」



物吉が、主を連れて来る。



『亀甲、貞ちゃん!廊下が、汚れて大変だって聞いたからお手伝いに来たよ。』

太鼓鐘「助かるぜ!じゃあ、俺と物吉が、床を拭くから主は、掃き掃除をしてくれ。」

『了解!』


亀甲と主は、一緒に箒で床を掃く。


『亀甲。その…前に折れたけど…あれから痛い所とか無い?気分が悪いとか…平気?』

亀甲「あぁ、ご主人様に心配して貰えて僕は、とても幸せだよ!寧ろ…痛い思いをさせて貰いたいくらいだよ!ご主人様の手でね。ニコ」

『もう…何時も通りみたいで安心した。ニコ』

太鼓鐘「今だ!!」



亀甲と主が、向き合って話ていると主の後ろから太鼓鐘が、床を拭きながら突っ込んで来る。


ドン


『えっ…』

亀甲「危ない!!」



主は、後ろからぶつけれ前に倒れ亀甲の胸に飛び込む。
亀甲は、主を抱き留める。


『あっ…ごめん///』

亀甲「ご主人様、大丈夫かい?」

『うん…///』

亀甲「顔が、赤いみたいだけど…僕の内の秘密で顔を擦ってしまったかな?」

『ううん。これは、違うの…支えてくれてありがとうね。』

亀甲「平気なら良いのだけど…」

物吉「次です!」



物吉は、後ろを向いている亀甲目掛けて突っ込む。



亀甲「わぁ!!」

『えっ何!ちょ、ちょっと…ムリ〜』



今度は、亀甲が前に倒れそうになり主が、支えるも男の体を支えきれず後ろに倒れる。
床に倒れる瞬間に亀甲が、体を捻り自分が下になり主を自分の上に倒れさせる。


ドタン


亀甲「痛たたた。太鼓鐘、物吉…二人して今日は、どうしたんだい…」

『ごめん!亀甲、今度は痛かったよね、大丈夫?』

亀甲「僕は、平気だよ。ご主人様は、大丈夫でしたか?」

『うん…私は、亀甲が庇ってくれたから…///』

亀甲「なら良かった。ニコ」

『…亀甲って綺麗な目をしてるんだね。』

亀甲「はっ!///
ごっご主人様、あまり…その…見つめないで下さい。///」

『何時もメガネ掛けていて外した所を見た事が無かったから分からなかったけど…めちゃめちゃイケメンじゃない!』

亀甲「あ、あの…本当に色々と不味いので僕の上で動かないで…///」

『えっ…あぁ〜ごめん。重かったよね。今、退くから…』


主は、退こうと両ひざを床につけ亀甲に股がる形になった時、亀甲は勢いよく上体を起こす。



亀甲「ご主人様は、重くなんか無いよ!色々と不味いのは、僕の体だから!!」


『えっと…///』

亀甲「あっ…///ご、ごめんなさい。ご主人様💦」

『あっ…いえ。こちらこそ…///』



太鼓鐘「なぁーこれうまくいったんじゃねぇの?(小声)」

物吉「そうだね!(小声)」



物吉と太鼓鐘は、何もなかったかのように主と亀甲が、立つのを手伝いぶつかった事を謝る。二振りは、主と亀甲にバレない様にグットサインをする。




2番手 長船兄弟



謙信「長光!たのんだのだぞ!」

大般若「はいはい、分かったよ。」



主は、長船兄弟の部屋に来る。



『謙信君、居るかな?』

謙信「あるじ!はって!」

『お邪魔しますね。』

謙信「いらっしゃいなのだ!」

『あっ!大般若さん、こんにちわ。』

大般若「どうも。ニコ」

謙信「光忠は、いま、おちゃとおかしをよういしてるからまってて。」

『うん。お茶に呼んでくれてありがとう。』

謙信「いいんだぞ!ニコ」

大般若「あんたは、俺の事を大般若さんって呼んでるけど、その呼び方は長くないか?」

『えっ?まぁー少し。』

大般若「好きに呼びなよ。」

『う〜ん。急に好きに呼びなと言われてもなぁ…』

大般若「般若、長光、あっ!光忠みたいになっちゃんでも良いけど?」

『いやそれは、無いですね。』

大般若「どうして?」

『なんか…可愛いから。』

大般若「ははは。俺は、可愛くないか。」

『あっ!悪い意味じゃ無いですよ!』



ガラガラガラ



燭台切「あれ?主君、もう来てくれてたんだね。いらっしゃい。ニコ」

『あっ!みっちゃん!!お邪魔してます。』

燭台切「今、お茶を淹れるからね。出来るまで光忠特製おはぎでも食べててね。」

謙信「おはぎーだいすきー!!」

『可愛い!』

大般若「…あんたの方が可愛いよ。」

『えっ…///』

大般若「あれ?聞こえなかった?もう一度、言おうか?…可愛いって言ったんだよ。クスクス」

『か、からかわないで下さい///』

大般若「からかってないよ。本当にそう思ったから言ったんだ。」



大般若は、ジッと主の目を見つめる。



『あの…///』

燭台切「長光さん。主君が、困っているよ。」

大般若「えっ?困って無いよね?照れているだけだよね。ニコ」

『あっ…はい…///』
((大人の色気だ…))


燭台切「もう、長光さんは直ぐにそうやって口説くんだから…。お茶どうぞ。」

大般若「あぁ、すまない。誰彼構わず口説いてる訳じゃ無いけどね。」

燭台切「はい、主君。お茶だよ。」

『はぁ💨///ありがとう。』

大般若「さて、俺の呼び方は決まったかな?」

『えっ…え〜っと』

大般若「なんだい?照れいて考えて無かったのかい?仕方がない子だね。俺は、長光って呼んで貰いたいけど…呼べるかい?」

『えっ…長光さんで良いですか?』

大般若「違うだろ?」

『えっと…///』

大般若「長光だよ。」

『はい…な、長光////』

大般若「ははは、良くできました。ニコ」


大般若は、主の頭を優しく撫でる。


大般若「何だろうね…本当に君は、可愛いね。俺、本気になりそうだよ。」

『えっ…』

燭台切「…」

大般若「それ…熱くない?」

『ん?…あっつぅい〜!!』


主は、飲もうとしていたお茶をずっと手で持っていた。熱さに気づくと正座をしていた足にこぼしてしまう。


燭台切「主君、大丈夫かい!おしぼりで少し冷やして💦」

『あっありがとう…。』

大般若「大丈夫?」

『はい。熱いけど少し冷めていたのでこれで平気です。』

大般若「そう、良かった。」

燭台切「長光さん。主君にあまりちょっかい出さないで貰えるかな。」

『えっ?』

大般若「何故?」

燭台切「今は、このくらいで済んだけど大怪我していたらどうするんだい。それに、思わせ振りな態度は良く無い。」

大般若「思わせ振りねぇ…。さっきも言ったけど俺は本気だよ。…君は、どうなんだい?光忠。」

燭台切「えっ…僕は、主君の事を大事に思っているよ。だから、中途半端な気持ちで手を出されたくない。」

大般若「では、光忠。どちらが、主を手にいれるか勝負だね。僕も今の言葉を聞いてお前にだけは、負けたくないと思ってしまったよ。ギロ」

燭台切「受けて立つよ!ギロ」

謙信「モグモグ…なにをいいあらそっているのだ?」

『えっと…あぁ〜もう無理!足痺れたぁ…。』


主は、正座を崩して足を伸ばす。


大般若「我慢していたのかい?」

『はい…』

燭台切「正座なんてしなくて良かったのに…。」

『でも、折角おもてなししてくれるんだから私もちゃんとしなきゃって思って…』

大般若「やっぱりあんたは、可愛い。がんばり屋さんだね。クスクス」

『もう、笑わないで下さいよ〜。今、足が痺れててちょっとでも体を動かしたらヤバイんですから…』

大般若「はいはい、分かったよ。頑張れ!ニコ」

燭台切「主君、ごめんね。僕が、早く気づいてあげていれば、ここまで痺れていなかったね。」

『みっちゃんが、悪いんじゃないから謝らないで。日頃から楽な姿勢ばかりしているからこんな時に直ぐ痺れちゃうんだよ。あっ!おはぎ、とても美味しかったよ。』

燭台切「それは、良かった。次は、ずんだ餅を作ってあげるからね。ニコ」

『うん、期待してる!ニコ』


謙信「…長光が、さんせんしてどうするのだ!光忠とあるじをくっつけるさくせんだったのに…(小声)」

大般若「あれ?そうだったかい?僕が、ものにする作戦じゃ無かったかぁ。まぁー良いか。俺も本気になったんだ。結果的に主をこの本丸に留められたら良いのだろ?(小声)」

謙信「そうだぞ。」

般若「任せときなって!クスクス」
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