〈二部〉

□1 歌仙兼定 近侍復帰!
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歌仙が、近侍になった初日の朝の事だった…



歌仙「主…起きる時間だよ。目覚めているかい?」

『あっうん!起きてるよ〜。』

歌仙「起きているのなら早く…近侍…部屋に…って何をしてるんだい?」



歌仙は、主の部屋に入ると小狐丸の髪を主が整えている姿を見て不機嫌な態度に変わる。



『おはよう、歌仙。これはね、毎朝恒例でやっていた事なの。小狐丸は、もう近侍じゃ無いけどこれをやらないと何だか朝が来た!って感じがしなくてね〜。ニコ』

小狐丸「はい、私も何やら落ち着かないのですよ。ニコ」

歌仙「…さっさと終わらせて仕事をして欲しいのだが?」

小狐丸「ぬしさま。歌仙殿が、お怒りですよ。クスクス」

『本当だ…よし!出来た。やっぱり小狐丸には、ポニーテールが一番似合うね!ニコ』

小狐丸「ありがとうございます!今日は、この髪型でいますね。ニコ」

『気に入って貰えて良かった。』

歌仙「…君達は、いつもこんな事を毎朝のんびりとしていたのかい?」

『えっ?まぁーそうかも。小狐丸は、私を急かすような事はしないから。』

歌仙「はぁ💨これだから平安時代の刀は…。さぁ、済んだのなら仕事だよ。」

『うん!小狐丸、またね!』

小狐丸「ぬしさま、頑張って下さい。」



歌仙と主は、近侍部屋に行き仕事をする。



『あぁ〜疲れた…歌仙。そろそろお昼にしようよ!』

歌仙「…君、まさか机の上をそのままで行くつもりかい?」

『えっ…?』



主の机の上を見ると紙やペン、書き間違えてぐしゃぐしゃにした紙等がやりっぱなしで置いてあった。



『あぁ…ごめん。いつも小狐丸が片付けてくれてたから…何処に仕舞うのやら…』

歌仙「小狐丸のせいか…。では、一緒に片付けてから食事にしよう。」

『小狐丸に甘えすぎてた…』

歌仙「いや。彼は、君の為なら何でもするからね。でも、これからは、しっかりするんだよ。ニコ」

『うん!』



歌仙と主は、片付けを済ましてから一緒に食堂に向かい食事をする。



三日月「おや?主も食事をしていたか。隣、良いかな?」

『どうぞ。ニコ』



三日月が、主の隣に座る。
すると歌仙は、またまた不機嫌な顔になる。



三日月「主は、何を食べているのだ?」

『ん?うどん。』

三日月「もっとせいの出る物を食べた方が良いぞ。」

『いいの。最近、美味しい料理を食べ過ぎてお腹にお肉が付いてきたから。ダイエットなの!!』

三日月「そうか…では、俺と運動でもするか?」

歌仙「ギロ」

『運動?…筋肉痛が来るから嫌だな…』

三日月「俺との運動は、その様な事にはならないぞ。」

『えっ!そうなの?何をするの?』

三日月「はっはっはっ。決まっているであろう。布団の上で気持ちの良い…」

歌仙「三日月宗近!!」

三日月「ん?何だ、歌仙。」

歌仙「君は、いつもいつも何なんだい?主を誘惑する事しか言えないのか。」

『えっ…』

三日月「主は、今までに会った女の中で唯一俺になびかない娘だからな。気になって仕方がないのだよ。」

歌仙「そんなの他の女としてくれ!この子には、指一本触れさせやしないからね!」

三日月「ほう…歌仙。お主も俺の邪魔をすると言うのか?ギロ」

歌仙「君が、この子に手を出すと言うのならね。ギロ」



((…何でケンカが始まったの💦))




三日月「そうか…俺の邪魔をするものは何であろうと折るだけだ。」

『!?絶対にそんな事したらダメだからね!』

歌仙「えっ…」

『宗近は、何で直ぐにそう言う事を言うかなぁ…。仲間なんだから仲良くしなきゃダメだよ!!』

三日月「お主が、俺のものになれば良いだけだが?」

『だから、それは出来ないって言ったじゃない。私には、この本丸を立て直す仕事があるんだから…。それに、宗近みたいなイケメンが私なんかに執着する意味が分からないよ。こんな平凡な私に…。』

歌仙「…君は、僕らにとっては、そんな存在ではないのだよ。」

『えっ?』

歌仙「僕らは、君の内に持つものに引かれているのだよ。」

『内に持つもの…』

歌仙「まぁーこのスケベ刀は、何を考えているかは分からないがね。」

三日月「言うではないか。歌仙…」

『はぁ💨もぉー知らない。私は、先に近侍部屋に戻るからね…』

歌仙「こら!主。僕を置いて行くんじゃない!」



主と歌仙は、三日月を残し仕事部屋に戻る。




三日月「…どうしたら俺の気持ちが伝わるのだ?」

鶴丸「スケベを止めたらどうだ?」

三日月「ん?鶴丸…居たのか…」

鶴丸「あぁ、驚いたか?」

三日月「驚いたぞ。はぁ💨スケベを止めれば、俺の気持ちが伝わるのか?」

鶴丸「三日月は、攻めすぎなんだよ。先ずは、優しさアピールだな。」

三日月「…優しさかぁ…。あい、分かった。次からは、そうしてみよう。」



近侍部屋



『はぁ💨退屈…』

歌仙「こら!手を動かす。」

『私、こう言う書き物って苦手なんだよね。…体を動かすような仕事の方がいいんだけどな…』

歌仙「はぁ💨もう、集中力がなくなってしまったみたいだね。仕方がない。今日は、ここまでにして皆の手伝いに行くかい?」

『えっ!いいの!?やったー!歌仙って意外と優しいんだね!ニコ』

歌仙「一言多いよ!」

『もう、午後だし今から手伝える所は…厨!!じゃあ、行って来るね!』

歌仙「何を言っているんだい?僕も一緒に行くに決まっているじゃないか。」

『えっいいの?じゃあ、行こう!』



歌仙と主は厨へ



『みっちゃん!手伝うよ〜』

燭台切「主君。夕餉の支度だから助かるよ!じゃあ、お味噌汁を作って。具は、任せるからね!」

『大役ですね…頑張ります!』

歌仙「…」

伽羅「…」



歌仙と大倶利伽羅は、無言のまま主の行動を見守る。



『具は…キャベツ!よし!切るぞぉ…』


トン…トン…トン…


歌仙「…危なっかしいね。僕が、やろうか?」

『えっ…だ、大丈夫だよ…』


トン…トントン…


伽羅「気をつけろ。」

『うん…』

燭台切「はぁ💨過保護だね…」



切った具材を沸騰した鍋の中に入れようとする。



伽羅「おい。また、火傷をするから俺がやる。」

『えっ、平気だよ。』

伽羅「ダメだ。」



具材を大倶利伽羅に取り上げられる。



『もぉ〜』

歌仙「火傷ってなんだい?」

燭台切「主君は、この前の肉じゃがを作った時に鍋の取っ手を素手で掴んでしまって火傷したんだよ。その結果が、コゲコゲの肉じゃがだったって訳なんだよ。」

歌仙「あれか…。もう、平気なのかい?」

『全然平気だよ。ニコ』

歌仙「そう…。」



主は、お玉に味噌を乗せ鍋の中で溶かそうとすると…



歌仙「僕が、やるよ。」

『ねぇ〜何で2人は、私にやらせてくれないの?これじゃあ、何時まで経っても料理が上手くならないよ…』

歌仙「しかし、怪我をされては…」

『怪我をすれば、次からは気をつけるでしょう!』

歌仙「…分かった。だが、くれぐれも気をつけるように。」



大倶利伽羅と歌仙は、主の両側に立ちガン見する。



((やりづらい…。でも、この2人の心配から来る優しさだから仕方がないか…。))



『よし!伽羅ちゃん、歌仙。味見してみて。』

歌仙「いいよ。」

伽羅「分かった。」

『どうかな?』

歌仙「いいね。美味しいよ。ニコ」

伽羅「旨い。ニコ」

『良かった。ニコ』

燭台切「微笑ましいね。さて、それじゃあ、器に移して食事にしようね。」

『はーい!』



歌仙の主に対しての過保護は続くのでした。
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