番外編

□お年玉は貰っても上げても嬉しい!(21')
1ページ/1ページ









『じゃあ、旦那様。後は、宜しくね!』

三日月「分かった。気をつけて行って来るのだぞ。」

『うん!旦那様も、がんばってね!行って来まーす!』



主は、本丸を出て何処かに出掛ける。



歌仙「おや?主は、また出掛けたのかい?」

三日月「おぉ、歌仙か。」

歌仙「彼女は、最近朝になると出掛けてしまうが、何処に行っているんだい?」

三日月「ん?まぁーなんだ…あの子は、皆の為になる事をしようとしている。温かく見守ってやって欲しい。ニコ」

歌仙「そうなのかい?まぁー構わないが…無理はしないように伝えてくれ。」

三日月「あぁ、分かった。では、俺も行くとするかー。」

歌仙「あぁ。そう言えば、君は今日も馬当番だったね。」

三日月「妻が、頑張っているのだからな、旦那の俺も頑張らねばな!」

歌仙「???」

三日月「はっはっはっ。ではな。」

歌仙「師走は、毎年何処を見ても忙しいものだね。」




その頃、本丸では主の為に色々な刀剣達が秘密裏に話を進めていた。




岩融「今剣よ、何をしているのだ?」

今剣「えっ?これですか?これは、主さまへのおくりものをつくっているのですよ〜!」

石切丸「贈り物?」

今剣「えぇ、粟田口のみんなとはなして、主さまにおくりものをすることになったのです。」

小狐丸「ほう、それは面白そうですね。我らも何か贈りましょう。」

今剣「はい!みんなでいっしょにおくりものをしましょう!ニコ」



左文字の部屋



小夜「…。」

江雪「お小夜。」

小夜「…。」

宗三「…何やら集中していますね。」

江雪「そうですね。何をしているのでしょうか?」



宗三と江雪は、忍び足で小夜の背後に立ち何をしているか覗く。



小夜「はっ!兄さま達、黙って後ろに立たないで…」

宗三「お小夜。先程から江雪兄さまが呼んでいますよ。」

小夜「あっ…ごめんなさい。集中していて聞こえなかった。」

江雪「何をしていたのですか?」

小夜「これを作ってた。主にあげる為に、みんなで話て決めた。」

江雪「そうですか…。我々も日頃、あの方には世話になっていますし…宗三、私達も何か贈りませんか?」

宗三「そうですね。私達も何か贈り物をしましょう。」

小夜「兄さま!!」

宗三「可愛いお小夜の為です。主には、我ら兄弟の贈り物で一番喜んで頂きましょうね。ニコ」

小夜「うん!」



貞宗の部屋



太鼓鐘「なぁ〜そっちは、どんな感じだぁ?」

物吉「何か…うまく行きませんね…」

亀甲「…。」

太鼓鐘「俺もだよ。どうも、手作りって上手く出来ねぇーんだよなぁ…」

物吉「そうなんですよね。相手の事を考えて上手く作らなくてはって思うと焦りが出てしまって上手く行かないんですよね。」

太鼓鐘「そうそう!」

亀甲「ねぇ〜二人共、さっきから何をしているんだい?」

太鼓鐘「!!亀甲…居たのか…」

亀甲「うん。さっきからずっと部屋に居たよ。二人が、今作ってる物に集中しすぎて、僕が部屋に入って来ても全然気づいてなかったけどね。」

物吉「えっと…お帰りなさい。今日は、畑当番でしたね。早かったですね…」

亀甲「相手が、大倶利伽羅さんだったからね。彼は、無駄話もせず黙々と働くから仕事が直ぐに済んじゃうんだよ。買い出しに行って来る。って言ってさっさと出掛けたよ。」

太鼓鐘「そっそうかーじゃあ、亀甲も疲れただろ?風呂にでも入って来いよ!なっ!」

亀甲「…。」

物吉「そうですね!お風呂に浸かって疲れを癒して来ると良いですよ!ニコ」

亀甲「ねぇ…。僕には、知られたくないのかな?二人は、何を僕に隠しているのかな?」

太鼓鐘「なっ何も隠してなんて…無い…ぜぇ…なぁっ!」

物吉「えっえぇ…」

亀甲「二人は、兄である僕に平気で隠し事をするような刀だったんだね…」

太鼓鐘「はっ!?」

物吉「うっ…」

太鼓鐘「はぁ💨分かったよ、言うよ。主に贈り物をしようって、みんなで話てたんだよ。」

亀甲「へぇ〜ご主人様に贈り物…。何時、渡すんだい?」

物吉「元旦ですよ。」

亀甲「お年玉って事かい!!」

太鼓鐘「まぁーそう言う事だよ。」

亀甲「いいね!僕も、ご主人様に贈り物をするよ!!……あぁ…今からゾクゾクして来たよ!ご主人様は、きっと…喜んでくれるはずだよね…はぁーはぁー」

物吉「何を…贈る気ですか…?」

亀甲「決まっているじゃないか!!この僕さ!!!あっ!そうだ!!今から綺麗に身体を磨いておかなきゃだね!!さっ!お風呂に行って来よう!!」

太鼓鐘「はぁ💨だから言いたくなかったんだよなぁ〜」

物吉「そうですね…」



粟田口の部屋



乱「ねぇ〜いち兄は、主さんに何をあげるか決めた?」

一期「えっ!あぁ…そうだね…何をあげたら良いか思い悩んでいる所だよ…」

薬研「大将の事だから何を貰っても喜ぶと思うぜ。」

一期「えぇ…お優しい方だからね。きっとなんだって喜んで頂けるとは思うのだが…やはり…」

鯰尾「誰からの贈り物よりも、私からの贈り物で一番喜んで貰いたい!」

一期「なっ鯰尾!!…私は…別に…その様な…事は…///」

薬研「図星かぁ…」

一期「いぇ…///」

乱「じゃあ、みんなで主さんが、いち兄から何を貰ったら一番喜ぶか考えようよ!!」

秋田「良いですね!」

厚「よし!いち兄の為だ!みんな、頑張ろうぜ!!」

全員「おーう!!」

一期「お前達…」

薬研「いち兄…三日月の旦那から早く大将を掻っさらえるよう頑張れよ!」

一期「薬研!…私は、別にその様な事は、考えていない…あの方が、笑顔でいてくれたら、それだけで良いんだ。」

薬研「そうかい…」



本丸内では、皆が主へ贈るお年玉で盛り上がっていた。
大倶利伽羅は、一人買い出しに出掛けていた。





伽羅「はぁ💨光忠の奴…こんなに沢山、買いに来させやがって…。少し疲れたな…茶屋で休むか。」


『いらっしゃいませーって…伽羅ちゃん!!』

伽羅「んっ!?お前…こんな所で何してるんだ!?」

『あぁ…えっと…バイト?的な奴かな…』

伽羅「バイト?ここで雇われているのか?」

『まぁーそんな所かな…』

伽羅「何故だ。」

『えっ…えっと…それは…あっ!伽羅ちゃん!何か注文するでしょ!何にするの?』

伽羅「あぁ?そうだな…茶をくれ。」

『はぁーい!お茶とお団子のセット入りま〜す!』

伽羅「団子は、頼んでない。」

『ここのずんだ団子、美味しいんだよ!私が、奢るから食べて行って!』



お茶と団子を食べながら大倶利伽羅の尋問が始まる。



伽羅「お前は、ここで何故働いている。」

『…言いたくありません。』

伽羅「何故だ?」

『何でもです。』

伽羅「はぁ💨俺達が、遠征でちゃんと金子を持ち帰って来ていないからか?」

『違うよ!ちゃんと皆、金子を持って来てくれてるよ…』

伽羅「じゃあ、何故お前は、ここで働いているんだ?」

『あの、お金は…皆が本丸の為に持ち帰って来てくれた物だから手を出したく無い…』

伽羅「何か欲しい物があるのか?」

『ううん…別に私は欲しい物は無い…』

伽羅「じゃあ、働いた金は、何に使う気だったんだ?」

『…。』

伽羅「お前が皆に黙って、こんな事をしているだなんて事を皆が知ったら…」

『皆には、内緒にして!!』

伽羅「…。」

『はぁ💨伽羅ちゃんには、言うよ…皆には内緒にして…』

伽羅「分かった。」

『実はね…皆にお年玉を上げたくて、ここで働いてたの。皆が持って来てくれる金子は、本丸の為に使いたいから手は出したく無かったの。』

伽羅「そうか…なら、俺もここで働く。」

『えっ?何でそうなる?』

伽羅「お前一人じゃ、あいつ等に年玉を配る額まで貯めるのは、大変だろう。だが、二人でやれば、倍になる。」

『でも、そんな事したら伽羅ちゃんに迷惑かけちゃうよ!』

伽羅「クスクス。今更だな…お前と出会ってから…こんな面倒な事が段々とやっても良いと思えるようになってきてたんだ。」

『伽羅ちゃん…変わったね。ニコ』

伽羅「そうだな。お前のお陰だな。ニコ」

『ありがとう。じゃあ、皆には内緒で一緒に頑張ろうね!!』

伽羅「あぁ。」




元旦




『明けましておめでとうございます!!』

全員「おめでとうございまーす!!」

『皆、初夢は、良い夢見れたかな?』

次郎「私は、酒の風呂に溺れる夢を見たよ…今年は、酒を控えろって事なのかな…あぁー嫌な夢だった!!」

太郎「次郎…」

『でも、大好きなお酒のお風呂に入って飲み放題だった夢ですよね!プラスに考えたら良い夢に変わりますよ!!』

次郎「…それもそうだね!!じゃあ、今年もガンガン飲んで行こー!!」

太郎「はぁ💨次郎…」



加州「俺はねぇ〜主とデートする夢を見る予定だったんだぁ〜!」

『…予定?』

加州「遊園地行って〜パフェとか食べたり〜」

大和守「予定だよね!」

加州「夜は、観覧車に乗って夜景を見て〜」

大和守「…妄想だね。」

『なるほど。』

加州「…。」

大和守「でっ本当は、どんな夢を見たの?」

加州「…妄想しすぎて…気づいたら朝だった…」

大和守「ぷぷっ!初夢、見れなかったんだ。だから、目の下にクマが出来てたのかぁ〜」

加州「お前、本当にうるさい!良いんだよ!これから寝るから!!今年、初めて寝て、初めて見た夢が、初夢なんだから!!」

大和守「何、その自分ルール…」

加州「うるさい!!放っておいてよ!!」


長谷部「…。」

『ん?長谷部さん、どうかしましたか?』

長谷部「お…」

『お…?』

長谷部「…折られる夢を見てしまいました…」

『ありゃまぁ…』

長谷部「俺が、主に新年の挨拶をしていると…酒を飲みながら、ふらふらと歩いて来た日本号に…長谷部〜飲んでるか!!などと話し掛けて来て…俺の横に置いた本体を鞘事、足で踏みつけ…ボキッ!!っと折れる…そんな夢を…」

日本号「ヒック!おぉ〜!長谷部〜飲んでるかぁ〜ヒック!!」

長谷部「ビクッ!!」



長谷部は、横に置いてあった本体を自分の胸に抱き抱える。



『…。』

日本号「ん?なんだ?本体を抱き抱えるなんて〜。はっはっはっ!俺に踏まれるとでも思ったのかぁ〜?」

長谷部「…。」

日本号「俺は、酒は飲んでも飲まれない!ってなぁ〜はははっ!」

長谷部「…お前は、今日一日、俺に近づくなぁぁぁぁー!!!」

『あぁ…長谷部さん…』

日本号「おぇ?なんだ…急に大声なんか出して…ヒック!」

長谷部「お前の近くに居ると正夢になりそうで嫌なんだよ!寄るな!!」



長谷部は、怒りながら日本号から離れて行ってしまった。



『今日は、長谷部さん…一日中、気が気じゃないだろうなぁ…可愛そうに…。』



蛍丸「主は、初夢見れたの?」

『私?うん!見たよ。ニコ』

愛染「どんな夢だったんだ?」

『皆と遊んだり、美味しい食べ物を沢山、食べる夢だったよ!クスクス』

蛍丸「えっ!?それって正夢になるじゃん!!」

愛染「すげぇーなぁ!主、正月からめでたいじゃないか!!」

『だね!!』

三日月「そろそろ、皆に配るか?」

『あっ!そうだね!おーい!皆に私からプレゼントがありまーす!』

博多「おっ!どうしたとばい?」

『日頃の皆さんの働きに感謝して、全員にお年玉がありまーす!!』

博多「おぉ〜!!主からお年玉が貰えるとは思わんかったばい!!」

歌仙「あぁ〜それで毎朝、出掛けていたのか。」

『えっ?』

歌仙「君の事だから本丸の金子には、手を出さないで何処かで働いて皆に渡す銭を工面したのだろ?あまり心配を掛けさせないでくれ。ニコ」

『ごめんね?』

歌仙「いつも我々の事を一番考えてくれて感謝しているよ。」

『こちらこそ!じゃあ、お年玉配るね〜』



主は、皆の喜んでいる顔を見て微笑んでいる。



三日月「良かったな。」

『うん!!』

五虎退「主さま!」

『ん?どうしたの五虎退?』

五虎退「えっとですね…」

小夜「僕達からも主にお年玉があるよ。」

『えっ?お年玉って…目上の人が自分より下の子に上げる物では…?』

包丁「クスクス。だからだろ〜」

『はい?』

薬研「大将、忘れてないか?俺達は、大将と比べたら物凄い年上だぜ?」

『あっ…』

蛍丸「忘れてたんだね。クスクス」

『そうでしたね…皆の見た目に騙されていました…。こんなに小さくて子供の様な姿や私と変わらない位のお歳の姿をしている美男子の方々も実は、大爺様でございましたね…』

不動「おいおい。主、その言い方は、トゲがあるなぁ〜」

『あぁ〜じゃあ、お年玉ではなく、お年賀でしたね…ごめんなさい。』

五虎退「主さま…気を悪くしてしまいましたか?」

『ううん。大丈夫だよ!』

堀川「じゃあ、改めまして。主さんに我ら刀剣男士より日頃の感謝を込めて、お年玉をお贈りしますね!!」

『うん、ありがとう!皆!!』



刀剣達より色々な贈り物を貰う主だった。



『はぁ💨すごいね…皆から色々な物を貰ってしまった…可愛い簪や着物、皆と撮った写真のアルバム、口紅、似顔絵、手編みの手袋、マフラーお年玉って、お金じゃなきゃダメなんだと思ってたけど、こう言うのもあるんだね。』

三日月「嬉しかったか?」

『最っっっっ高に…嬉しい〜!!!』

乱「良かったぁ〜。主さんに喜んで貰えたみたい!!」

『今まで貰ったお年玉の中で一番嬉しい!!皆、ありがとう!!』

物吉「えへへ。やっぱり、主さまにはいつまでも笑顔でいて貰いたいです!」

太鼓鐘「そうだな!」

和泉守「よし!年玉も渡し合った事だし…そろそろ、始めるか?」

長曽祢「始めるとは?」

和泉守「決まってんだろ!宴会だよ!!」

堀川「おっ!良いですね〜!!」

次郎「よ〜し!始めよう!!」

燭台切「じゃ〜料理を並べようか。」

伽羅「…分かった。」

鶴丸「俺は、隠し芸でもするかな!」

獅子王「いいね〜!俺も何かやるぜ!」



年初めの宴で皆が喜んでいる姿を見た主は、穏やかな気持ちでいた。



『今年も良い年になりそうだね!!ニコ』

三日月「そうだな。この本丸は、お主と我らが居れば、いつまでも幸せな本丸でいられるだろうな。」

『そうだね。旦那様…今年も宜しくお願いします。ニコ』

三日月「此方こそ今年も宜しく頼む。ニコ」


終わり


前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ