番外編

□薬研先生の薬
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薬研「おい!お前等、ちょっと聞いてくれ。」

乱「何?薬研。」

鯰尾「何々?面白い遊び?」

薬研「ふふふふ…。」

後藤「おいおい。何だよ、その笑いは…」

五虎退「何だか…怖いです。」

薬研「いや、別に何も怖い事なんか無い。ただ、お前達に聞きたい事があってな…クックックッ」

前田「薬研兄さん。勿体振らずに早く言って下さい!」

薬研「あぁ…そうだな。じゃあ、聞くが…お前達は、大将の事が好き…だよな?」

乱「えっ?そんなの今さら聞いてどうするの?」

平野「そうですよ。当たり前です!」

薬研「よし!じゃあ、お前等にいい薬をやるよ。大将、きっと喜ぶぜぇ…。」

後藤「…絶対にヤバイ薬だ。俺、パス。」

前田「そうですね。僕達も止めます。」

平野「その方が、良さそうですね。」

薬研「ほう。乱と五虎退と鯰尾は、どうするんだ?」

乱「主さんが、喜ぶなら…ボクは…飲むよ!」

五虎退「ボクも…頑張ります…。」

鯰尾「何か面白そう。俺も飲むー!」

薬研「そうか。じゃあ、これを…」



薬研は、懐から薬の瓶を取り出し、乱達に渡す。



五虎退「これを…」

乱「飲めば…」

鯰尾「主が、喜ぶんだね!」

薬研「あぁ、泣いて喜ぶ…はずだ…。」



三振りは、妖しい薬を一気に飲み干す。



薬研「…。」

鯰尾「何も…」

乱「起こらないよ?」

五虎退「薬研兄さん。何も起こりません。」

薬研「ん?おかしいな…実験じゃ、成功したんだが…実験体が、亀だったから効いたのか?」



薬研は、予備の薬を懐より取り出し蓋を開け臭いを嗅ぐ。



乱「もう、薬研も飲んでみなよ!」

薬研「あっおい!乱、ちょっと待て…」



乱は、薬研の持っている薬の瓶を取り上げ薬研の口の中に無理やり押し込む。


ゴクゴク…



薬研「…飲んじまったじゃねぇか。」

乱「平気だよ!どうせ、失敗作だったんだから。」

薬研「そんな事は、無いんだが…」

鯰尾「なぁ〜んだ。失敗かぁ…。つまらないのぉ。」

五虎退「あるじ様に喜んで頂きたかったです。」

鯰尾「残念だったね。あっ!じゃあ、これから主の所に行って遊んで貰おうか!」

乱「それ良いね!行こう、五虎退。」

五虎退「はい、行きます!ニコ」


薬研「おかしいなぁ…。何がいけなかったんだ?」



鯰尾達は、主の部屋に向かう。



コンコンコン



乱「主さん!一緒に遊んで!」

『ん?乱ちゃん?良いよ〜遊ぼぅ〜!』



主は、襖を開けて皆を部屋の中に招き入れる。



『あれ?五虎退に鯰尾くんも居たんだね。ニコ』

鯰尾「そう。主と遊びたくって来ちゃいました。クスクス」

五虎退「あの…迷惑では無かったですか?」

『えっ?迷惑な訳ないじゃん!何でそんな風に思うの?』

乱「だってさぁ〜三日月さんと向こうの世界から戻って来てから、三日月さんがずっと主さんにべったりで、何か近寄れないって感じだったんだよ〜。」

『えっ?そんなにべったりだった?』

鯰尾「あれ?気付いて無かったんですか?」

『えっ?うそ…皆、そんな風に思って…』

鯰尾「何か俺の嫁に近付くんじゃねぇ〜!って感じが、ひしひしと伝わって来てましたよ。ニヤリ」

『そっかぁ…ごめんね。私、気付かなくって…みんなに寂しい思いさせちゃったよね。』

五虎退「だっ大丈夫です。あるじ様が、ちゃんと僕達を見ていて下さって居る事を知っていますから。」

『いつもちゃんと見てるよ。ニコ』

乱「うっ!」

『えっ!?乱ちゃん、どうしたの?』

鯰尾「ぐぅっ…!」

五虎退「くっ…苦しい…です…」

『えっ?えっ!?何!?…どっどうしたの!?』

乱「たっ助けて…主さん…」

『やだ!みんな!…死なないで!』



急に苦しみだす三振り。うずくまりながら手を伸ばす乱の手を主は握り抱き寄せ目を瞑り涙を流す。
暫くすると、苦しんでいた三振りの声が止む。



乱「ねぇ…主さん…目を開けて…。」

『乱ちゃん!!もぅ…痛く…無い…の…って…えっ?』

鯰尾「主…今の僕達…かっこよくないですか?」

『はっ?』

五虎退「あっ…あるじ様…僕…体が…おかしくなっちゃったみたいです…。」

『あっ…あんた達…誰よぉーーーー!?』



主の回りには、推定20代前半のイケメン男子達が、肌けた衣服を纏い主に迫って来ていた。
そこへ、急いで薬研が駆けつけた。



薬研「おい!お前等…って、遅かったか…。」



薬研が、主の部屋に勢い良く入ると部屋の隅で自分の体を両腕で抱き怯えている主が居た。



鯰尾「薬研…」

薬研「取り敢えず、お前達は、これに着替えろ。」

乱「何これ?」

薬研「着流しだ。そんな肌けた姿で居たら、大将が目のやり場に困るだろ。」

五虎退「…分かりました。」



三振りは、主に背を向け着流しに着替える。
薬研は、主に事情を説明しようとする。



薬研「大将…悪かったな。」

『薬研君に似てるけど…あんたも誰よ!!』

薬研「…俺っちの事が分からないのか?」

『俺っちって、薬研君は自分の事をそう呼ぶけど…どう見てもあなたは、薬研君じゃ無いよね!!薬研君は、色気駄々漏れショタ眼鏡なんだから!!あなたは、ただの色気ムンムン眼鏡男子じゃないのぉ!!』

薬研「はぁ💨すまないな…大将。これは、俺っちの作った薬で一時的に大人の姿になっただけなんだよ。見た目は、こんなだが俺っちや後の三振りは、歴とした大将の刀の鯰尾、乱、五虎退だぜ。」

『えっ…うそ…』

乱「嘘じゃないよ。主さん!僕だよ!乱藤四郎だよ!!」

『…可愛い女の子アイドルみたいな面影全然無い…。』

鯰尾「俺の事も分かりますか?鯰尾藤四郎ですよ。クスクス」

『…鯰尾君…って言うより鯰尾さんって感じ。』

五虎退「あっあるじ様!僕の事は分かりますか?五虎退です…。」

『五虎退も…色白白髪色気青年になっている…。』

五虎退「こんな僕達は、嫌…ですか?」

『へっ!?いっ嫌だなんて…そんな事は…無いですよ?ただ…』

乱「ただ…何?」

『えっと…///』

鯰尾「ねぇ…主…はっきり言ってよ。」



三振りは、主に詰め寄る。



『あぁ…ごめんなさい💦わっ私には、宗近と言う旦那様が居るんです!!』

鯰尾「ん?そんなの知ってるよ。」

『いや…だから…///』

乱「だから?」



乱は、上目遣いで主を見る。



『はぅっ…///』

五虎退「あるじ様…大丈夫ですか?」

『うぅ…もぅダメ…かも…///』



色気ムンムンイケメン三振りが、どんどん主に顔と体を寄せて来る為、主は限界が来ていた。



三日月「皆、その辺にしておいてくれぬか?」

薬研「三日月。」



三日月は、主の側に行き抱き上げる。



乱「あっ!三日月さん、ズルい〜」

鯰尾「そうですよ!三日月さんは、何時も主とべったりなんだから、たまには俺達が主と戯れても良いじゃないですか。」

五虎退「ずっズルいです…」

三日月「…大事無いか?」

『はぁ💨助かった…』

薬研「ん?何だ、大将は嬉しくなかったのか?」

『いや…嬉しくないって言うか…もう、みんなの色気があり過ぎて…鼻血が出そうでしたよ…。』

薬研「ほう…悩殺されてたのか。お前達、安心しろ。大将は、ちゃんと喜んでくれてたぜ。」

乱「本当に〜!良かったぁ〜。ニコ」

五虎退「良かったです。あるじ様のお顔が、どんどんと真っ赤になっていたので心配しました。」

鯰尾「喜んでくれてたのなら良かったよ。じゃあ、主!俺達と遊びましょう!!ニヤリ」

三日月「駄目だ。」

鯰尾「えっ?何でですか?」

三日月「今のお主らでは、我が妻が、誑かされてしまうのでな。」

『ちょっと!誑かされるって何よ!私が、フラフラしてるみたいな言い方しないでよ!』

三日月「していたであろう?今、このモノ達に言い寄られて舞い上がっていたではないか。」

『うぅ…そんな言い方しなくったっていいじゃない…💢』

薬研「おいおい。」

乱「ちょっと…」

鯰尾「…険悪な感じですよ。」

『…降ろして。』

三日月「…。」



三日月は、無言で主を降ろす。



『最近、ずっとベタベタして来てたのは、私の事をそんな風に見ていたからなの?』

三日月「…そう言う訳では無いが…怒っているのか?」

『うん、怒ってます。』

三日月「…。」

五虎退「あの…あるじ様。怒らないであげて下さい。」

『えっ?五虎退…元に戻って…』



いつの間にか四振りは、元の子供の姿に戻っていた。



五虎退「みっ三日月さんは、心配なのですよ。あっあるじ様が、可愛いから…他のモノ達が手を出すんじゃないかって…まっ前にボクに言っていました。」

『そうなの?』

三日月「はぁ💨…五虎退。言ってはならぬと申したはずだぞ。」

五虎退「ごっごめんなさい…。でも、お二人が喧嘩されてしまうのは嫌だったので…」

『…私は、みんなも大事だけど一番大事なのは宗近だよ?』

三日月「…お主の事を信じきれない弱い男ですまぬ…。」

『いいよ。私も…そう思わせちゃうような行動を取ってたのかも知れないし…私もごめんね。』

乱「良かったぁ…二人が、僕達のせいで喧嘩しちゃうのかと思ったよぉ〜。」

鯰尾「本当だよね…。俺も少し焦っちゃいましたよ〜。」

薬研「まぁ〜二人の絆がより強くなったって事で良かったな。」

三日月「ちょっと待て、薬研。」

薬研「ん?何だ?三日月の旦那。」

三日月「今後一切、怪しい薬を作る事は許さぬ。」

薬研「はっ?」

三日月「お主の怪しい薬のせいで俺の可愛い妻と離縁なんて事になりかねん。そんな事になったら…お主を一生…」

『宗近!怖いこと言わないでよ!!でも…まぁ…目の保養にはなったけど…(小声)』

三日妻「…何か言ったか?」

『いえ!何も言ってません💦』

薬研「分かったよ。二人が、俺っちの薬のせいで喧嘩なんかされたんじゃ、いち兄にも怒られるからな。怪しい薬は止めるよ…(多分な…)。」

乱「一件落着って事で、主さん!遊ぼ〜!」

『うん!』

鯰尾「じゃあ、俺は他のみんなにも声かけてくるよ〜。」

五虎退「ぼっ僕も行きますー!」



主と乱と五虎退は、外へ行き。鯰尾は、自室へ向かって行く。



薬研「あまり束縛が過ぎると捨てられるぜ。」

三日月「はっはっはっ。あの子が、その様な事をすると思うか?」

薬研「おっ?自信があるのか?」

三日月「ある。俺達は、互いを求め合っているからな。ニコ」

薬研「…惚気やがって…。はぁ💨俺っちも大将と遊んで来るかな。」



薬研も主達のいる外へと出て行く。



三日月「俺の可愛い花嫁は、誰にも渡さぬよ。ニコ」





終わり


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